2025年4月29日火曜日

ガスの話。

近々ガス給湯器を取り換えることになったのを機に、改めてガスについて調べてみました。そのことを書いてみます。


東京に居たころはずーっと都市ガス・東京ガス、それが当たり前でした。都市ガスが自由化されてガス会社が選べるようになったのは2017年のことです。それでも都市ガスについては選択肢はあまりありません。関東だったら東京ガスの他はレモンがスとニチガスくらいです。


一方プロパンガスの自由化は、それよりも20年も早く、1997年から自由化されています。選択肢もたくさん、全国のガス会社は17600以上あり、価格も自由化される前から自由料金制、価格幅も大きい。千葉県には600以上のプロパンガス会社があり、値段も相当違います。

引っ越しが決まった時、不動産屋さんに希望のガス会社はありますか?と聞かれ、プロパンなんて全く知らないし、何を問われてるのかもわからなくて、お任せします、とお願いしました。実は不動産屋さんが手配してくれたガス会社が結構高いほうだったことを知ったのは、だいぶ後になってからでした。

 まず、都市ガスとプロパンガスの違い。

そもそも原料が違います。都市ガスは液化天然ガス(LNG)を原料とし、メタンが主成分。プロパンガスは液化石油ガス(LPG)を原料として、主成分はプロパンやブタン。

都市ガスは地下のパイプラインを通じて供給されるので、いつでも使える。プロパンガスはガスボンベを設置してそこから使い、定期的にボンベを交換する必要があります。

火力はプロパンの方が強い。都市ガスは1㎥あたり熱量10,750kcal なのに対して、プロパンは1㎥あたり24,000kcal 。一般に都市ガスの方がプロパンガスより安いと言われています。

ガス燃焼時に発生する二酸化炭素の量は都市ガスの方が少ないので環境に優しいと言われます。おもしろいのは、都市ガスは軽いのでガス漏れの時には上に上がるからガス漏れ警報器は天井に付けるのに対して、プロパンガスは空気より重くて床にたまるので、警報器は床に設置するということ。そういえばうちも警報器、台所の床に置いてあります。

へーぇって感じです。


でもね、都市ガスは誰もが選べるわけじゃない。都市ガスが使えるのは、日本全国の面積のわずか6%しかありません。例えば関東では、この地図のように、ガスの導管が設置されているところはこれだけ、東京を中心にした一帯です。千葉県でも、東京に近いエリアが中心で、千葉市内でさえ都市ガスは使えないところもある、ましてや外房エリアは都市ガスほとんどありません。


実は、千葉県には、日本有数の水溶性天然ガス田があって、生産量、埋蔵量ともに日本最大規模だそうです。それなのに、その天然ガスはみんな首都圏に行ってしまって、お膝元の千葉では使えないって、何だかなぁ…って思いますが。千葉の水溶性天然ガスの可採埋蔵量は約3500憶㎥、現在の年間生産量は4.6憶㎥nで約800年分あるそうです。すごいですね。


天然ガスは脱硫、脱酸素処理をしてから-162℃に冷却し液化されます。体積は1/ 600となって大量輸送が可能になり、港近くのLNG工場に貯蔵された後、海水による加温により天然ガスに戻します。千葉にある東京ガス袖ケ浦工場は世界最大のLNG受け入れ基地かつ専用工場だそうです。


一方LP ガスの原料となるプロパン、ブタンは油田(石油)や天然カス田の内部に、メタンなどの他のガスと混在しています。それを分離、回収し、不純物を取り除い取り除いて精製し、低温で液化して液体LPガスとして輸送されます。

日本で消費されるプロパンガスの75%は輸入に依存し(輸入先は68%がアメリカ)、25%が国内で原油精製時や化学製品の生産時に発生する分です。

世界で生産されるLP ガスは原油からが30%、天然ガスからが30%、石油精製過程からが40%ですが、日本ではほとんどが石油精製過程からだそうです。


価格について。

プロパンガスは都市ガスより高いと言われています。実際のところどうなのか。ネットで調べると、プロパンガスは基本料金が1700~2000円、従量料金が1㎥あたり700円前後となっていますが、一筋縄ではいきません。会社によって違うだけではなくて、いろんな条件で変わってくるし、個別にも違うみたいだし。


うちはプロパン大手のNガスです。引っ越して数年後、Nガスの営業の人が来て、検針票を見せたら、「これは高すぎるから、うちでなくてもいいから変えた方がいい」と言われて変えました。

コーヒーの焙煎機をガスに変えた時、焙煎小屋(元物置…写真の左奥のドアが焙煎小屋の入り口、ボンベの横が勝手口で入ると台所です)にガス栓を設置するのも無料で工事してくれました。うちの2025年3月の料金は10956円(基本料金1650円、従量料金1㎥あたり389.4円で23.9㎥使用)平均より安いとおもいます。


同じ量を都市ガスだったら約4900円(東京ガスの早見表による計算)、でもカロリーが倍くらい違うので消費量を倍の48㎥で計算すると約8800円となりました。

都市ガスも基本料金プラス従量料金で計算しますが、常に変動しているし、なんかいろいろ条件があって…ガス代って難しい。ただし、都市ガスの方が安いことは確かです。でも、前にも書いたけど、都市ガスは都会の人以外は選べないんだからどうしようもない。


プロパンガス、メリットもあります。

第一は災害時に強いこと。都市ガスはガス管が壊れたら復旧までに時間がかかります。プロパンではボンベと設備があればすぐにガスが使えます。それと火力が強いこと。前述したように、1㎥あたりのカロリーは都市ガスの倍以上ある。なので、都市ガスのエリアでも、火力の必要な飲食店など(中華屋さんとか)では、プロパンガスも入れているところが結構あります。うちみたいなコーヒーの焙煎やってるところも、焙煎用にプロパン入れてたりします。


都市ガスが使えるのが普通だった私ですが、それは全然普通じゃないって外房に移住して気付きました。地方にお引越しする方も、都市ガスがあるところなんてたったの6%しかないということを覚えておいてください。そしてプロパンガスの場合、価格に倍くらいの差があるので、とりあえず調べてからガス会社決めた方がいいですよ。余計なおせっかいかな。


ガスの話でした。(2025年㋃29日 水野佳)






0 件のコメント:

コメントを投稿

十和田市現代美術館 

  ずーっと行きたかった十和田市現代美術館へ行ってきました! とてもとてもおもしろくて、感動的で素晴らしい体験でした。 外房線太東駅から東京駅へ、東北新幹線で七戸十和田駅で降り、そこからバスで十和田市へ。5時間ちょっとの道のり。バスの本数もなくてネットで調べて、これしかないってい...