2023年8月28日月曜日

コーヒー2050年問題

コーヒー2050年問題って知っていますか?

地球温暖化による気候変動の影響でコーヒーの栽培地が減って、2050年までにこれまでのようなコーヒー生産ができなくなるだろうと言われています。

栽培適地は2050年には現在の50%に減少する一方で、コーヒーの消費量は世界的に増加、コーヒーを取り巻く状況はピンチに陥ると予測されます。

コーヒーは赤道を挟んだ北緯25度から南緯25度のコーヒーベルトと呼ばれる地域で栽培されています。特に美味しいコーヒーとされるアラビカ種は、標高1000メートル以上の山岳地域で、昼夜の寒暖差と適度な降雨量が必要。ところが、温暖化の影響で気温が上昇し、雨季と乾季の境目がなくなって、品質・収穫量とも減少。さらにコーヒーの大敵「さび病」が発生しやすくなります。コーヒー生産者の多くは小規模農家です。生産量の減少は生産者の収入減少となり、経済的に苦しくなってコーヒー生産を続けられなくなっていく。大規模農園だけが生き残っていくということになりかねません。

もともと小規模のコーヒー農家は収入が少ない。例えばエチオピアでは、コーヒー生産農家の世帯収入は国民一人当たりの年収の1/3ほど。コロンビアでは、コーヒー豆の価格が暴落する度に人口が流出すると言われ、農園を売るかコカの栽培に切り替えるかの選択を迫られる農家もあるという。コーヒー豆の価格を決めるのは先物取引所で、そこでコーヒー豆が高騰して高く売れても生産者に入るお金はすごく増えるわけではなく、暴落すればコストを下回る価格で売らざるおえない。。利益は中間搾取され、コーヒー農家は潤わない。こんな状況の中、2050年までもたない零細農家は多いだろう。そしてますます需要と供給のバランスが崩れる。ましてこの問題が取り沙汰され始めたころよりはるかに速いスピードで温暖化は進んでいるという。どうなってしまうんだろう。

ここまで書いて思いました。
COCAMAUとなんて違うんだろう。
私たちが仕入れているコーヒーの生豆は、東ティモール・アイナロ県マウベシ郡で日本のNGO パルシックの支援によって現地の人々で組織されたマウベシ農業協同組合(コカマウ)によって栽培されています。設立は2002年、34世帯から、最初の10年は試行錯誤で大変だったと言いますが、2020年時点で600世帯近くになり、日々コーヒーと取り組んでいます。主体は組合員たち、組合の意思決定、組合員の義務、売上金の配分などは集落ごとに作られた作業グループの代表者会議で決定されます。コーヒー畑の管理、収穫、収穫したコーヒーの実の処理、乾燥などの作業する人々はみな笑顔で楽しそうです。
世界中のコーヒー生産者がCOCAMAUみたいだったら、どんなにいいでしょう。搾取され貧困にあえぐこともなく、ただおいしいコーヒーを育てることに一生懸命になれて、コーヒー栽培に誇りを持てたら、幸せなのに。
私たちはCOCAMAUのコーヒーをちゃんと大事にしなくちゃいけないと改めて思いました。

マウベシでは2019年からコーヒー畑の改善事業に取り組んでいます。樹齢30年を超えたコーヒーの木は収穫量が減少。そこで意欲ある農家を中心に木の植え替え、土壌改良、木の手入れを専門家から学び、同時にその知識を普及させる人材を育てる取り組み。JAICA の助成での事業です。
さらには、東ティモール・エルメラ県サココ集落でのアグロフォレストリー事業も2019年から行われています。
アグロフォレストリーって聞いたことありますか? アグリカルチャー(農業)とフォレストリー(森林)をくっつけた言葉、樹木と農作物を一緒に植えてその相互作用によって農業と林業を共存させていくという概念。サココの場合は、もともとポルトガルの植民地だった頃コーヒープランテーションとされた土地がロブスタ種のコーヒー栽培地となっており、そこに多様な農作物を植えて住民の暮らしを支える豊かな森に変えていこうという活動です。そのためにまず苗床建設予定地のそばに貯水タンクを作り、配水パイプを引く工事から始めました。苗床にはライムやねむの木、カカオやドゥリアンなどを定植。ここでも主役は現地のサココ青年組合(KOHAR)。コハルの組合員たちが中心となり、住民たちが交代で作業したとのこと。夢はサココの森、素敵ですね。
(パルシックのホームページを参考にさせていただきました。写真3枚もホームページより)

ところで、東ティモールにも温暖化の影響は来ているようです。マウベシでは、例年なら6月に乾季が訪れ、収穫が始まると雨の降る日が少なくなるのに、今年は7月に入ってまた雨季に戻ってしまい雨が続いている。年々乾季が短くなって雨季が長くなっていると現地の人は言っているとのこと。気候変動によって農家の心配事は増えていると、パルシックのスタッフレポートに書かれていました。

2050年問題、実はコーヒーに限ったことではありません。
世界規模で地球環境が今より悪化することが懸念されています。地球温暖化が進み、世界中で異常気象が続き、自然災害がさらに増える。また地球の人口は増え続け、水不足、食糧不足は深刻化する。2050年、世界の人口は100億人に、世界の平均気温は2~3℃上昇し、47℃を超える日が続くという説もあります。海面上昇率も大きく、キリバス、セーシェル、モルディブ、ツバルなどの島国はすでに影響を受けていて、2050年には海に沈んで無くなってしまうと言われているところもある。


地球温暖化の大きな原因は温室効果ガスです。温室効果ガスが悪いというイメージがありますが、今の地球の気温=平均気温14℃が保たれているのは温室効果ガスのおかげ。これがなければ-19℃だそうです。
産業革命以降、人間は石油や石炭などの化石燃料を燃やし続け、大気中へ放出される二酸化炭素の排出量を急激に増加させ、温室効果ガスの層を分厚くし温室効果を強めてしまった。
地球は氷期と間氷期(温暖な期間)を繰り返しているけれど、過去の気温変化が5000年で7℃(100年で0.14℃)だったのに対して、最近の変化は100年で0.74℃であり、今後の100年はさらに気温が上昇すると予測されています。
因みに世界の平均気温14℃とあったけど、今年の7月は平均気温が史上初めて17℃を超えた日があって、それが3日連続だったとか。恐ろしいですね。

今年の異常な暑さは世界中で起こっています。アメリカのデスバレーでは55℃!アリゾナでは高温になったアスファルトでやけどする人が続出。カナダでは山火事が多発、その煙はスペインにまで達し、燃え続ける山火事になす術もなく、何万人もの人に避難指示が出されました。中国では今年7月気温が52℃を突破。比較的涼しいはずのヨーロッパも熱波で、ローマでは史上最高の41.8℃を記録。話題はいくらでもあります。

国連事務総長は「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代が到来した。」と言ったとか。人間は50℃までは生きられるそうですが、それも超えそう、いやすでに超えてるところもあるか。人間の脳が生きられるのは体温42℃までだそうで、気温がこんなに高くなると、体温がちゃんと保たれるか不安ですね。

こんなことになったのは、人間のせい。人間がもっと便利に、もっと快適にと求めてきた結果、今の世界がある。原点に戻って考えてみるべき、何を大切にするのか、何ができるのか、考えて、できることを少しずつでもやっていかなくてはと思います。
何はともあれ、まだまだ続きそうな暑さを、何とか乗り越えて生きていきましょう。
みなさま、どうぞご自愛ください。 (2023年8月28日 水野佳)












 

新生・炎の雫

「炎の雫」新しくなりました。 東ティモールコーヒーから自家焙煎コーヒーへ。コーヒーの銘柄を増やして、カフェでも飲めるし、豆の販売でもご購入いただけるようになりました。 ラインナップに加わったのは、タンザニア・コロンビア・メキシコ・グァテマラ・エチオピアシダモの5種類。 また、焙煎...