春から夏へ、今まさに野の花たちは花盛りです。
道端や空き地で見かけた花、気が付けば自然に生えてきて花が咲いている草、よく見るときれいだったり、おもしろかったり。このところ下ばっかり見て歩いていて、これなんだろう??って立ち止まって検索して、写真撮って…お散歩がちっとも進まない日々です。前は空の雲ばっかり見てたのに。ま、そんな時期もありますね。そのおかげで、そこらの花にちょっと詳しくなりました。今、一番よく咲いているのはこれ、ハルジオンです。漢字では春紫苑と書きます。畑、道端、土手、どこにでも生えるキク科の多年草。北アメリカ原産。花言葉は「追想の愛」、つぼみが項垂れていることからついたようですが、繁殖力旺盛で生命力が強く、要注意外来生物に指定されています。
ハルジオンとよく似たヒメジョオン。漢字では姫女苑。ヒメジオンというのは音をそろえた呼び方で間違いだそう。どこにでも生えるのは一緒ですが、ヒメジョオンは一年草。ハルジオンとの違いは花びらがやや太くて少ないこと。ハルジオンは200枚、ヒメジョオンは100枚くらい。花の時期もやや遅く5~8月。他にも、茎の中とか葉っぱの付き方とか違いはあるみたいですが、私的には、ピンクっぽいのがハルジオン、白っぽいのがヒメジョオン。こっちも要注意外来生物に指定されています。この花は、道端にはえていたもの。大きさが4cmくらいあって、花びらの数も少ないし、草っぽくないし、検索したらヒナギクと出て、花のアップでは次にフランスギクと出てました。フランスギクはヨーロッパ原産で江戸末期に渡来し、観賞用に栽培され野生化したもの。英名はマーガレット、でも日本でマーガレットというのは木春菊のことなので別物。ヒナギク(雛菊・デイジー)の方が丈が低いというのでやっぱりヒナギク?ややこしい。
マーガレットは野生化してないみたいなので違いますね。
月見草は江戸時代にメキシコから渡来しましたが、繁殖力の強い待宵草が野生化して広まったのに対して、月見草は繁殖力が弱く半世紀前には自生しなくなり、本物の月見草はほぼ見られないそうです。ヒルザキツキミソウは園芸品種だったものが野生化しました。今では、全国的に道端や土手で咲いています。
ヒルザキツキミソウの仲間です。これは1センチくらいの小さな花。
名前の通り、かつては夕方から咲いていたようですが、現在は昼から咲いている。
この花も、そこここで見かけます。花も草丈も、とっても小さいものから、結構高くなっていっぱい咲いているものまであります。赤紫色のこの花が道の両側に続いていたりします。
これはたぶん、ルリニワゼキショウ。アヤメ科の庭石菖の仲間で1cmくらいの花と低い草丈。気が付かずに通り過ぎる、もしくは踏んづけてるかもしれないけど、よくよく見るととてもきれいです。私がよく行く土手の下のテーブルとベンチがあって、その周辺にさりげなく咲いています。
カタバミは世界に850種もあり、日本では自生種が6種、外来種で帰化して定着したものが7種ある。漢字では片喰・傍食と書いたりする。花は5~10月に咲く。午前中に咲き、夕方閉じる、曇りや雨の日にも花びらは閉じているとか。面白い。カタバミの葉っぱで10円玉を磨くとピカピカになるそうです。
紫色のカタバミ。日本には戦後渡来し、野生化して道端などに生える。他の雑草と一緒になって、そこに黄色や白の花が咲いて、とてもきれいです。この花、今ここら辺ではそこここにいっぱい咲いてます。
こっちはムラサキカタバミ。紫というよりピンクっぽい。
カタバミ3種、黄色いのも種類違うかもなので4種かな。
因みにクローバーとカタバミの葉っぱはよく似てるけど、白い模様がないのがカタバミ、模様があるのがクローバー。
花が咲いてれば一目瞭然だけどね。
四葉のクローバーならぬ四葉のカタバミというのも存在するようですが、クローバーよりさらに確立低いらしい。
クローバーというのはマメ科のトリフォリウム族の総称ですが日本ではクローバーと言えばシロツメクサのこと。
ヨーロッパ原産で江戸時代に日本に渡来。輸入船の荷物の隙間に緩衝材として詰められていたので、白詰草。草丈は低く、地面を這うように広がっていきます。
アメリカ原産。日本には明治から昭和初期にかけて渡来して各地で野生化しています。晴れた日は早く萎み、曇りや雨の日は夕方まで咲いているとありましたが、ここらではずっと咲いてます。みんなそれぞれ今の場所に適応してますね。
野の花は、圧倒的に黄色とピンク、あとは白。
青・紫系はすくないようです。
小さな小さな花です。かわいい!
雑草の名前なんてほぼ知らない私が知ってた数少ない花のうちの一つでした。このちょっと恥ずかしい名前、命名者は今話題の牧野富太郎博士。こんなに美しい花に似合わない名前だと改名運動も起こったそうですが、うまくいかなかったようです。
「雑草という名の草はない」と言ったのも牧野博士。これは彼が記者時代に作家の山本周五郎に言った名言です。
ミヤコグサは珍しく日本に古来からある品種。
史前帰化植物と言われて、古代から親しまれてきた花。奈良や京都、つまり都でよく見られたためこの名が付いたと。でもセイヨウミヤコグサというのもあるらしい。そうじゃないといいなあ、何もかも輸入・渡来植物ばかりだから。
輸入穀物に紛れて渡来したとされ、1961年に初めて確認され、2000年以降全国に爆発的に拡散。要注意外来生物には指定されていないものの、危険性の周知と駆除の協力を自治体が呼び掛けています。きれいだし、ひなげしかぁって思ったけど、そうでもないみたい。ケシと名前がついているけれど、ヒナゲシは(ナガミヒナゲシも)アヘンの原料となるアルカロイドを含んでいないので栽培・所持禁止対象ではないとあったが、アルカロイドを含み毒性があるという記事もあったので要注意です!
アザミはタンポポみたいに、花が白い綿毛になって飛んでいくって知ってましたか?形も似てるから、同じ方式を採用してるんですね。このタンポポみたいなのはノボロギク。花が小さいしいっぱい咲く。タンポポはもう少し前に花盛りでしたが、今はこっちが咲いてます。
以前、背の高いのはタンポポじゃなくてノゲシってFacebookに出したけど、ノボロギクはノゲシよりは小さくて華奢な感じ。花も2cmくらいかな。明治にヨーロッパからやってきた外来種。花はタンポポみたいに綿毛になって飛ぶ。この季節、やたらと白いふわふわしたものが飛んでて、ガラスや網戸にくっつくのですが、これっていろんな花が飛んでるからだと納得。
最近あまり見かけないなと思ったら、そういうことですか。
朝顔と昼顔はヒルガオ科で、夕顔はウリ科。朝顔は在来種ではなく、奈良時代に中国から渡来したそうです。
筆頭はこれ、スイセンノウ。別名フランネルソウ、漢字では酔仙翁。南ヨーロッパ原産、ナデシコ科の多年草。まずビロードっぽい銀色の細かい毛の生えた小さな株が現れます。なんか面白そう、多肉植物かしらとほっといたら、ひょろひょろと伸びて濃いピンクの花が咲きます。なかなかいいかもと思っていたら、繁殖力が強いみたいでやたらと庭中にチビ株が出てくる。大変、これだらけになっちゃうとせっせと抜いて、花壇のところに生えたのだけ残しています。
中国・朝鮮半島原産の多肉植物。
これは木が生えてる下のところやブロックの周りなどにどんどん広がって、これからの季節に黄色い花を咲かせます。取っても取っても増える。少し前はカラスノエンドウが小さな紫の花と実をつけて広がってて、それを取り終わったらこれ。韓国では山菜として食べるというので、食べてみようかしら。
ふきは毎年採って食べてます。葉っぱに艶のある方はつわぶきでおいしくない、艶のない葉っぱのふきだけを収穫し下茹でし、煮物にする。めんどくさいけど春の味です。
このスイカズラは、うちの生垣周りのマキの木などに絡みついて伸びて、花咲いて大変なことになってます。引っ張っても全然とれないのです。
スイカズラは日本原産、どんなものにでも絡みついて離れようとしない、常緑で年中緑の葉をつけてツルをのばす。別名ニンドウ(忍冬)花の蜜を吸うと甘いらしい。漢方薬にも用いられるそうですが。花言葉は「愛の絆」「献身的な愛」~怖い!
実はこれ、今では特定外来生物に指定されて栽培禁止。1880年代に持ち込まれ、緑化に用いられたリしたけれど、あまりに強靭で繁殖力が強いため、売ったり増やしたりしちゃいけないそうです。もしかしたら、ただのキンケイギクか、キバナコスモスかもしれないけど、検索ではオオキンケイギクと出ました。道路の脇で、濃い黄色の大きな花を咲かせていて強そうです。毒はないそうです。
ちょっと面白い花を見かけました。
リナリア(姫金魚草)が野生化したものみたい。これもよく見かけます。こぼれ種でよく増えるらしい。
もともとどこかのお宅で花壇に植えて、そこから道端や空き地に増えていったのでしょう。
ツタバウンランというのもあって、これも見かけたことあります。
仲間だけど、花がもっと小さい紫色で丈も低く横に広がっていくやつ。どちらもオオバコ科、ウンラン属。地中海沿岸からの渡来種。
これ何だろう?検索したらアメリカフウロの花が咲いた後の状態みたい。(花じゃなかった!)
花は薄ピンクで、花びらが散ると花の中央が伸びてきて、その根元に実ができて、熟すと黒くなってはじけ飛ぶのだそう。何だかとっても面白い。北アメリカ原産で、昭和初期に日本に来たものだけれど、在来種のゲンノショウコに近い仲間だそうです。
オランダカイウ、別名カラー。原産は南アフリカで、江戸時代にオランダから渡来。サトイモ科。日本の風景に似合わないとあったけど、確かに目を引きます。何あれ?って思いました。湿地や水路などで野生化してるらしい。
こんなの初めて見た、気が付かなかっただけかしら。
花のように見える白いところは、「仏炎苞」という部分で、花は黄色いところ、小さな花が密生している。サトイモ科だけど、シュウ酸カルシウムが含まれていて毒性があり食べてはいけないそうです。
こんなのまでそこらに咲いてる、房総おそるべし。
カシワバアジサイ。これも、あれ何?って思いました。
葉っぱの形が柏の葉に似てて、花は円錐状またはピラミッド型に付く独特の形。秋には紅葉するとあったけど、葉っぱは今でも赤くなってる、そういう種類かな。アジサイって世界に2000種以上あるっていうから、いろいろあるよね。
センダン(栴檀)の木、花が咲いてます。
ここはいつも通るお散歩コースで、ああ、花咲いてるって今年は思いました。毎年咲いてたんだと思うけど。
花は白っぽい紫、なんかいい感じ。
南国的な花で、よく見かけます。だいたいはお庭とか玄関先とかにありますが。
40年以上も昔、演劇少女だった私は、唐十郎の紅テントの芝居を観に行きました。演目は「下町ホフマン」。
今は亡き根津甚八の「薄紅立葵の咲くころ、僕は……」という一人台詞をなぜか鮮明に覚えていています。因みにホフマン役は、こちらも今は亡き李礼仙でした。
今回花を検索してタチアオイと出たとき、ああ、これがそうか、と思ったのでした。ウスベニタチアオイの咲くころ、って今頃のことだったのです。
ここまでで31種類、全部この10日ほどでお散歩途中で撮った写真です。他に写真撮ったけど書かなかった花たちも。5月の終わり、こんなにたくさんの花が咲いてるんだとびっくりしています。それと、帰化植物の多さにも驚いています。日本に古来からある植物はどんどん減ってる、在来種、頑張れ! (2023年5月29日 佳)