11月9日、映画「カンタ!ティモール」のアレックスがなくなりました。
心臓発作だったようです。
「カンタ!ティモール」が作られるそもそものきっかけになったアレックス。
子どもたちに囲まれて、ギターを弾きながら歌っていたアレックス。笑顔が素敵なアレックス。41歳でした。
12月10日、新宿で行われたアレックスの追悼の会に参加しました。広田奈津子監督や南風島渉さんのお話、小向サダムさんの歌、東ティモールからの留学生の歌、その中で、水野たかしもアレックスの歌「モリス・フォウン」に日本語の歌詞をつけて歌わせてもらいました。
そもそもの発端は、10月29日の炎の雫での上映会でした。台風の中をトークのために来てくれた南風島さんと話していて、アレックスの曲でモリス・フォウンが一番好きだと話しました。いつか日本語にして歌えたらいいねと水野と二人で話していると、南風島さんもあの曲いいなあ、ぜひやってくださいと言っていました。アレックスが亡くなったと連絡がきたのが10日、翌11日は、炎の雫で網野まことさんと水野のライブを予定していました。年に数回しかやってないライブが、たまたまあるなんて、偶然とは思えません。この日は、事情を話して網野さんに先に歌ってもらい、水野はアレックスに捧げるつもりで歌いました。私が言うのもなんですが、魂のこもった歌声だったと思います。
さらに偶然にも11月22日に高円寺の稲生座でのライブの予定もありました。こちらも1年ぶり。。そこに南風島さんが来てくれて、12月10日にアレックスの歌を歌ってくれないかと提案がありました。もはや偶然というにはでき過ぎ、必然でしょうか 。10日までには無理だと思いますと一旦はお断りしたものの、千葉へ帰って話し合ってみました。水野は、曲自体は簡単だと言い、まんざらではない様子。ならば考えてみるねと、歌詞を考え始めました。サントラ・カンタソングスの訳詞からなるべく離れないように、でも私たちの思いも少しは入れて…初めの部分はすぐできて、でもサビが…明日にしようっと、と寝ました。次の朝、何故かスラっとサビもできました。広田監督と小向さん、南風島さんにメールで歌詞を送り、水野は歌いこなすための練習に入りました。
何とか間に合って、10日の追悼の会では、無事に歌うことができました。水野に言われて、私は傍らで手話を付けました。もともと、上映会の時、星降る島に手話を付けて歌っていたのです。(これは江口晶さんが、上映会の時、星降る島で奥様がフラを踊ることに端を発しています。フラは無理だけど手話ならできるとやっていました)すると、終わった後に、何人もの方が声をかけてくれました。私もあの歌が一番好きという人が多いのに驚きました。日本語で歌ったことも、手話があったことも、とても良かったといってもらって嬉しかったです。アレックスの歌が繋げてくれたんだ、歌はアレックスが残してくれた贈り物なんだと実感しました。
モリス・フォウンの歌詞を考えながら、アレックスに捧げる歌を作りたいと思っていました。頭のどこかでずーっと考えていました。最初に浮かんだのは「戦う術は歌だった」というフレーズ。歌詞の断片はいくつかありましたが、なかなかつながらない。かつて、16歳で亡くなった男の子のために書いた歌があるのですが、それも言葉のかけらばかりがあってつながっていかなくて、しばらく時間がかかりました。その時は、ある人に「大丈夫、まとまるときはまとまるよ」と言われたのを支えに抱えていました。今回もそうなるかな、時間がかかるかなと思ったのですが、モリス・フォウンができて数日後に、原形が出来上がりました。アレックスが背中を押してしてくれたように感じています。カンタティモールで見たアレックスの生き方を歌にしたつもりです。
追悼の会が終わって千葉へ帰り、夫に、アレックスに捧げる歌を書いたの、そのうち歌にしてね、と歌詞を見せました。詩を渡してもなかなか歌にならないのはいつものこと、数か月も、時には数年もかかることもある、曲を作るのに時間がかかる人なのです。ところが、その場でギターを弾いて歌いだしました。驚くべきことです!!こんなことは前代未聞!
そして、半日で、歌はほぼ出来上がりました。アレックスの魂が降りて来て、歌を作らせているのじゃないかと思いました。私の頭の中に浮かんだ言葉が勝手につながっていって詞になり、それがギターのコードに乗って歌になる、それもこんな短い間に、これは私達へのアレックスからの贈り物、そう思わざるをえません。
この1か月、私の頭の中のどこかに、いつもアレックスがいるみたいでした。
アレックスが2014年のカンタフェスタに寄せたメッセージに、亡くなった人たちの想いがきっと寄り添ってくれるから大丈夫、とあったけど、まさにアレックスが寄り添ってくれているようです。
亡くなった人の力を借りて、彼らのの想いも抱えながら、私たちは生きていきましょう。
♪ 日は昇り日は沈む 美しい島にまた朝が来る
ティモール島は美しい島だけど、日本だって美しい島です。
これは、昨日の朝のいすみの光景。
朝焼けに月が浮かんでいます。
なんとなく、星降るの島の一説を思い浮かべました。「祈りの歌 月と出会う」
♪日は昇り日は沈む あなたは帰る 豊かな大地へ
ありがとう アレックス (12月15日 佳)