2026年5月28日木曜日

初夏の旅~奈良から大津へ

 

新緑の美しい初夏の奈良から大津を旅してきました。今回の旅の目的は、特別公開の仏像を見ることと、今まで行きたいと思ってたけどまだ行っていないところに行くこと。

順にご紹介していきましょう。

(今回の旅の目的の一つは特別公開ですが、公開される仏像はほぼすべてが撮影不可です。なので、写真は私が撮った風景写真が中心です。これは新緑の春日大社。)



太東から朝6時台の電車に乗るとお昼頃奈良に着きます。午後は奈良市内の璉珹寺の特別公開を見に行くことにしました。璉珹寺の「本尊の阿弥陀如来立像(県指定文化財)は、光明皇后がモデルとされる白く美しい女人のお姿。下半身に袴を穿き上半身は肌を露にした白色裸形の像で、袴は50 年に1 度取り替えられます。また、脇侍の木造観音菩薩立像(重文)、木造勢至菩薩立像(重文)も特別に拝観できます。」(『祈りの回廊』より) 毎年5月のみの公開。3体とも美しくて見惚れてしまいます。

拝観後は、お寺の中のお茶所でお庭の花々を眺めながらお茶とお菓子をいただきました。夫は琵琶茶、私は甘木茶。ゆったりとした時間、ああ奈良に来たとしみじみ。



2日目は朝元興寺へ。何度も前は通ったことあるけど、敬遠して入らなかった、ならまちの中にある世界遺産。本最初の本格的伽藍である法興寺(飛鳥寺)が平城遷都にともなって、新築移転されたのが元興寺で、佛法元興の場、聖教最初の地と言われています。国宝の極楽堂、禅室、五重小塔や、重要文化財の曼陀羅、木造阿弥陀如来像や弘法大師像、聖徳太子像など文化財がずらり。

境内にはたくさんの石像が並んでいます。みんな違う顔。

そしてひっそりと静かです。この日は空いてたからかもしれないけど、すぐそこにならまちの喧騒とは思えない、なんで今まで来なかったんだろうと後悔したくらいでした。


元興寺にまつわるガゴゼの鬼伝説。

昔、農夫が天から落ちてきた雷神を助け、お礼に授かった怪力の子がいました。その子は元興寺の童子となりました。寺で、鐘楼で夜警をする少年が毎夜命を落とす怪異が起こった折、童子は真夜中に現れた鬼と死闘を繰り広げて鬼を退治し、後に立派な僧侶となりました。

ガゴゼ(漢字では元興神と書く)またはガゴジ(元興寺)とは、妖怪となって全国に広まった鬼のこと。語源はこのお寺にあるようです。もともと元興寺にいた悪鬼が、鬼を超える鬼神(善鬼)となって悪い鬼・邪気を払うという考えも。何かと鬼と関連深いお寺です。

元興寺の境内には、鬼伝説にちなんでユーモラスで小さなガゴゼの石像が数体潜んでいます。

境内をめぐっていると、ガゴゼ見つけました。実は、私たち、「なら不思議旅図鑑」というミニ番組で見て知ってました。あ、いた! なんか楽しいです。


さて、お昼は、奈良に来たら絶対行きたい「ピッツェリア・ルナノーヴァ」ヘ。ランチタイムは初めてです。ここはピザもお料理も本当に美味しい。今まで食べた中で一番かもしれません。ランチなのでサラダとピザとデザートをオーダー。ピザはマルゲリータと生クリームとチーズがベースのピザ。ウ~ンおいしい!美味!! 

写真は蒸し鶏と野菜のサラダ、ただモノじゃないおいしさです。

いつもは夜ワインを飲みながらお腹いっぱい食べちゃうので、ザートは食べられず、今回初めてでしたが、こちらも絶品です。絶対ふつうのティラミスじゃないし、普通のパンナコッタじゃない。奈良に行ったら行かなきゃ損、ですよ。


午後はバスツアーで岩船寺と浄瑠璃寺へ。どちらも秘仏公開中。

当尾の里は奈良のお隣ですが、厳密には京都府木津川市。かつて一度自力で行ったことあるけど、電車乗ってコミュニティバス乗って歩いて、と大変なので、今回はバスツアーを利用。午後だけの短いコースです。秘仏公開でツアー設定されてたみたいです。連休後の平日なのに、結構いっぱいでした。


山の中にひっそりと佇む岩船寺、秘仏・如意輪観音菩薩と弁財天、羅刹天を公開中。その他にも多数の仏像があり、仏像好きにはたまらない。ご本尊は平安時代の阿弥陀如来坐像(重要文化財)。

もうちょっとゆっくり見たかったけど…。



続いて浄瑠璃寺へ。バスはかなり大変そうな細い山道をくねくね行きます、さすがプロ。


浄瑠璃寺、別名九体寺。池の東側が此岸、三重塔に薬師如来が祀られています。西側が彼岸(極楽浄土)で本堂に九体阿弥陀如来が祀られています。御本堂の九体阿弥陀如来像は国宝。2023年に順次行われてきた修理が完成し、今は九体揃っています。前来たときは揃ってなかったけど、それでも圧倒されました。こんな山の中に、こんなすごい仏様がいるなんて、と感動したのを覚えています。九体揃ったら、圧倒的です。ほんとに素敵。今回は秘仏・吉祥天立像(重要文化財)が5月20日までで公開中。きれい。いつまででも見ていたい、と思いつつ、時間ぎりぎりまで本堂に居ました。



3日目は念願の春日山原始林を歩きました。一番短いコースだけど。

今まで天気悪かったり、暑かったり、寒かったり、何度か断念を繰り返して、やっと実現。今回はお天気も気候も良くてラッキー。これまた避けてきた春日大社、ここも結構いいじゃんと話しながら、遊歩道入り口を捜すのにちょっと苦戦。


原始林遊歩道に入ると‥素晴らしいです。ほんとに原始林、そこらじゅう大きな木だらけ、(当たり前か)原始の森、いいなぁぁ。時折後ろから来た人に追い越されながら、ゆっくりと歩きました。ずっと上り坂。立ち止まって森の空気を呼吸してまた歩く。森の恵みを全身に浴びながら。



しばらくすると、若草山の山頂に至る開けた場所に出ました。交番みたいなのがあって人がいて、何だかほっとする。

若草山は、鹿たち、遠足の子供達、山歩きの大人たちで賑わっていました。眺め良し。いい気持ち。

春日大社の水谷神社から入ったので、東大寺の裏の方の北ゲートへ降りる道を下りました。下る方が大変、足ガクガク。こっちの道は木がほとんどなくて、外人さんも多かったです。


午後は奈良国立博物館へ。

特別展「神仏の山吉野・大峯~蔵王権現にささげた祈りと美」開催中。かなり混んでました。

「山が連なる大自然、そこに神と仏が宿り、やがては修験道の聖地、そして桜の名所となった吉野・大峯」。(展覧会ホームページより)

役行者像や蔵王権現像が多数展示され、神像仏像、曼陀羅、鏡像、山岳信仰とそれにまつわる宝物の展示、見応えありました。

(写真は吉野大峯展で唯一撮影OKのロサンゼルスから里帰り中の木造蔵王権現像です。)


ここまで来たんだから仏像館も行かなくちゃと足を運びました。

相変わらず、仏像館は素晴らしい。前に来た時と展示内容が結構変わっていて、じっくり見たいところでしたが、もう疲れちゃって、適当に切り上げました。

充実した一日でした。

(仏像館には何点か写真OKの仏像があります。これは今回初めてのような気がする、新薬師寺の十一面観音立像。重要文化財、平安時代。新薬師寺と言えば十二神将、大好きです。何度も観に行ってます。新薬師寺そばの入江泰吉記念奈良市写真美術館もいいですよ~)



4日目は奈良から大津へ移動。


この日は、いつか行こうと思ってたシリーズの一つ、三井寺を訪れました。

三井寺とは通称で、正式には園城寺。天台宗の総本山。平安時代に造られて千二百年余、源平の争乱、南北朝の争乱による焼き討ちなど、幾多の苦難を乗り越えて今に至り、不死鳥の寺と言われています。三井の晩鐘でも有名です。


こちらでは「あお若葉・モミジの競演」と題して国宝・金堂の特別拝観を開催中。

三重塔のご本尊釈迦三尊像、毘沙門天像、不動明王像などが国宝の金堂内で拝観できます。




このお寺、ただただ美しい。

どこを切り取っても絵になります。

そのうえ素晴らしい文化財がたくさんあります。建物は国宝・重文だらけ、仏像も平安時代や鎌倉時代の重文がずらり。

ぐるっと回って半日はかかります。私たちはお昼からだったので、ちょっと時間が足りないくらいでした。

また来たいです。


そして5日目は、いよいよ比叡山延暦寺。これこそ長い間行こうと思いつつ、なかなかいけなかった地です。

比叡山には京都からのルートと琵琶湖側からのルートがあります。今回は行きは京都駅から比叡山直通バスで、帰りはケーブルで坂本へ下り、京阪線で大津へ帰るルートをとりました。


比叡山延暦寺、天台宗の総本山。京都と滋賀にまたがる比叡山を寺域とする日本仏教の聖地であり、世界遺産です。延暦寺は788年、最澄によって開かれました。何人もの仏教の要となる僧を世に送り出しています。鎌倉時代には武装化し一大勢力となり、織田信長の不興を買って焼き討ちにあい、全山の堂・塔・伽藍が消失。後に豊臣秀吉、徳川家康らによって再建されました。


現在の延暦寺は、東塔エリア、西塔エリア、横川エリアの3つのエリアに分かれ、それぞれに本堂があり、国宝・重要文化財も多数あります。

実は今回は東塔エリアしか回れませんでした。それも国宝の根本中堂(江戸時代のもの)は修復中だというのに。でも、ゆっくりたっぷり延暦寺を堪能してきました。三井寺が人の手が十分に入った美しさだとすれば、延暦寺は自然の中に在る美しさ。なんて言ったらいいのかな、自然への敬意を呼び覚ましてくれるような、山の霊気を、畏怖を感じさせるような独特の雰囲気。それなりに人がいたのですが、そんなこと気にならないし、東塔も阿弥陀堂も結構新しくて昭和にできたものなのですが、それも気にならない。全部ひっくるめて比叡山に抱かれてるからでしょうか。不思議です。


境内の一隅会館の地下にお蕎麦屋さんがあったので、お昼ご飯にいただきました。

私は温かい比叡山そば、夫は冷たい門前そば。関西風のおつゆだけどおいしいです。お蕎麦は関東風の濃い山車が絶対いいと思ってたけど、これもありかな。

こんな名前がついてると、格別の味のような気がしたり、旅の思い出になりますね。


このエリアにある国宝殿が素晴らしいものでした。


国宝、重要文化財、指定文化財60数件を含めて数百件の文化財が収納されています。

平安時代の千手観音立像、維摩居士坐像、薬師如来坐像、鎌倉時代の不動明王二童子立像、大黒天像、五大明王像…素晴らしい!

学芸員さんもちゃんと居て、阿弥陀如来の前に配置されていた十二神将について質問したら、丁寧に答えてくださいました。


阿弥陀堂から下を見ると、琵琶湖がちらと見えて、絶景です。




写経もしてきました。

実は三井寺では写経受付の時間を過ぎてしまっていて、残念と思っていたのですが、延暦寺は各お堂に筆ペンで写経のできるコーナーがあって、勝手に書いてそれを後から受付で納めるという形を取っていて、とても手軽です。

私は写経は初めて。(前に東大寺でやった時は写仏をしたので。夫はその時も写経だったから2度目。)薄く印刷されている字をちゃんとなぞらなくちゃと雑念が入って全然ダメ。写仏(仏様の絵を描く)だと、割と何も考えないでやれたんだけど。でも面白かったです。

またどこかで写経やりたいと思います。次は薬師寺かな、それとも當麻寺かな。

また奈良に行く楽しみが増えました。


翌日、在来線で米原まで行って、そこから新幹線で帰りました。

なんだかんだで5泊6日の初夏の旅、お天気にも恵まれ、人も少なくて、とても素敵な旅でした。

連休後の5月中旬、おススメです。(2026年5月28日 水野佳)


★仏像については、各お寺のHPを検索してみてください。画像が見られます。

★奈良県の観光課による「祈りの回廊」というサイトがあって、特別公開やイベントの日程が詳しく記されています。私はいつもこれを参考にしています。

 祈りの回廊 https://inori.nara-kankou.or.jp 

★元興寺のところで紹介した「奈良ふしぎ旅図鑑」はBS-TBSで毎週水曜日夜9:54~10:00、JR東海がやっているミニ番組。今の案内人は林遣都さん、その前は吉岡里帆さんでした。

この番組好きでいつも見ています。奈良旅の参考にもなって、

これ見て行ったところも多々あります。



2026年4月28日火曜日

「ストリートキングダム」

遠い昔を思い出させてくれた物語を。


4月上旬、1本の映画を見た。「ストリートキングダム~自分の音を鳴らせ。」

監督・田口トモロヲ、脚本・宮藤官九郎、主演・峯田和伸・若葉竜也、原作・地引雄一。


「1978年ーたった1年を永遠にした若者たちがいた。その伝説的なムーヴメントが奇跡の映画化!」


東京ロッカーズと呼ばれたムーヴメントを題材にし、あの時代を追いながら、自分たちの理想の音を追い続ける若者たちの青春映画として、現代に生きる若者たちへのメッセージをも込めて作られた熱い映画。


「インディーズ」という言葉がまだなかった時代、自分たちでミニコミ誌を作り、レコードをプレスして、自分たちでライブシーンを作り出す。インディーズのDIY 精神。今では当たり前になっている「ロック・フェス・スタイル」や「オールスタンディング」、新しいライブスタイルは東京ロッカーズによって生み出された。

 物語は、セックス・ピストルズが解散した1978年、カメラマンの夢に挫折したユーイチが「ロッキン・ドール」という手作りのミニコミ誌を手にしたことをきっかけに、東京で次々とパンクに触発されているバンドが登場しているのを知る。ミニコミ誌を作るサチ、TOKAGEというバンドのモモと知り合い、カメラマンとして、また、自らが何をできるかを問いながら、関りを深めていく様を綴っていく。

登場するバンド・人物には実在のモデルが居て、ライブシーンの音楽はすべてオリジナルの音源が使われている。


ユーイチは原作者の地引雄一さん、演じるのは峯田和伸、彼は実際のミュージシャンで銀杏BOYZというバンドを率いていて、かつ俳優としても活躍している。


TOKAGEのモモのモデルはリザードのモモヨ、演じるは若葉竜也。昨年「アンメットある脳外科医の日記」というドラマで、主人公川内ミヤビ(演じたのは杉咲花)の婚約者の三瓶先生で一躍有名になった役者さん。(それまでも知る人は知る存在だったけど)


ミニコミ誌のサチのモデルはゼルダのチホ(バンド名は映画ではロボトメイアとなっている)、演じたのは吉岡里帆。最近では「御上先生」で松坂桃李の御上先生の同僚是枝先生を演じてた。まじめな先生とロックバンドのベーシスト兼ミニコミの編集者とのギャップがすごい。ベース似合ってる。 (★この写真は、私が持っているゼルダのレコード。1枚はベースのチホとヴォーカルのサヨコによる招き猫カゲキ団のレコード


*余談ですが、御上先生のエンディングテーマ曲はONE OK ROCK の「Puppets Can`t

Control You」。ワンオクはこのころの東京ロッカーズみたいに、今の時代を自分たちで切り開いているDIY精神のバンドだというのは何かの巡りあわせか。(こじつけかな。)


その他の東京ロッカーズの面々。

軋轢のDEEPのモデルはフリクションのレック。演者は間宮祥太郎。これがめちゃくちゃかっこよかった。フリクションってこんなにかっこよかったっけ?


解剖室の未知ヲのモデルはスターリンの遠藤ミチロウで仲野太賀。今NHKの大河ドラマ「豊臣兄弟」で主役やってる。え、仲野太賀がミチロウ?って思ったけど、妙に納得させられたのはさすが。振り切れててお見事。


ごくつぶしのヒロミのモデルはじゃがたらの江戸アケミで、演じたのは中村獅童。何となく似てるかも。ラスト近くでお遍路さんの格好でモモのレコード店を訪ねてきて「戻ってきちまったぜ」とニヤリと笑うシーンがたまらない。


S-TORAのモデルはS-KEN 、演じたのは大森南朋。正直Sケンはよくわからない。東京ロッカーズのプロデューサー的役割が強いような。ちゃんと見てないしね。


さっき映画のライブシーンはすべてオリジナル音源と書いた。それは吹き替え、役者はあてぶりということ。撮影時は役者たちが実際に弾いてて、映画の編集段階でオリジナルの楽曲に乗せてライブシーンを作ってる。オリジナルのバンドの映像や写真を織り交ぜているところも多々ある。でも全然違和感がない。

役者たちはスタジオに入って練習を重ね、実際に演奏できるまでに上達したという。各バンド間で競い合い、「やばい、うまくなってる、うちももっと練習しなきゃ」なんてやってたらしい。

その中で、映画のエンディングテーマはリザードの「宣戦布告」のカバー、峯田和伸と若葉竜也が歌っている。

(★写真はパンフレットより)


役者のみならず、スタッフにも“熱”は伝わり、特に美術スタッフはレコードを作り、当時のライブハウスを詳細に調べ、街の有様などをいかに再現するかにのめり込んだという。


「東京ロッカーズのDIY 精神に感化されてクリエイティブ魂に火が付いた」


田口監督の情熱が俳優やスタッフに飛び火して燃え上がり、「ストリートキングダム」は「失われた時代の記録ではなく、若者たちが自分たちでアクションを起こせるようになった今の時代にこそ見るべき物語として完成した。」(パンフレットより)


東京ロッカーズはバンド名ではない。いくつかのバンドが集まって1978年にいくつかのライブを行い、「東京ロッカーズ」というレコードを79年に出した。マスコミに取り上げられるようになって個々のバンドの足並みがそろわなくなり、東京ロッカーズの看板を下ろし、それぞれの道を行くことを決断した。だからたった1年。彼らの目的は売れることではなく、自分たちにとって最高の音楽をやること。かっこいい。


冒頭に、遠い昔を思い出させてくれた、と書いた。

私は実際に東京ロッカーズを同時代で見た体験者なのだ。


たぶん1980年代の初めころ、私は一人の男の子と出会った。彼は大学に入ったばかりで、どういう経緯か知らないがスターリンのミチロウに傾倒していた。私にとって彼はアリスのうさぎ、アンダーグラウンドのミュージックシーンへの道案内となった。


その頃私は芝居ばっかり見てて音楽は全然、ましてやインディーズやパンク系は全くの門外漢。彼に誘われるままに、ライブハウスや学祭に出入りした。そしてはまった。

面白い!


彼はスターリンの親衛隊で、ライブでは最前線で体を張ってお客さんを止める役を担っていた。スターリンはギグ(昔はよくギグって言ってた、今では死語かしら)を重ねる度に過激になっていったけど、初期はそれほどでもなかったように思う。なんかちょっとゴミ投げたり、鶏投げたりしてた。空間は張り詰め、異様な雰囲気、ミチロウのエネルギーは半端なく、どこからあんなパワーが湧いてくるんだろうと思った。ミチロウはステージを降りると穏やかで腰が低くてとてもいい人だった。

(★この写真は私が持ってるスターリンのレコード、3枚あったんだ。)


80年代に入ると、東京ロッカーズの流れを汲む様々なバンドが登場する。当時、大学はライブの大きな柱だった。京大西部講堂はもちろん、各大学でこぞってライブが行われた。東京だと法政大学とか武蔵野美大とか、横浜だと横浜国大とか神奈川大とか。私の水先案内人は横浜市大の学生だったので、よく横浜方面に行った。オールナイトもたくさんあったような気がする。この映画に登場するスターリン、ゼルダ、じゃがたら、フリクション、ノンバンド(お話部分には登場せず映像とレコードが登場、劇中のバンド名はNo! No! Band)の他、水玉消防団、突然段ボール、吉野大作&プロスティテュート、スクリーン、コクシネル、灰野敬二…。

残念ながら、リザードとS-KENについてはほとんど見てない。本当の東京ロッカーズにはちょっと間に合わなかった。残念。リザードはちゃんと見たかったな。


当時好きだったのはノンバンド。彼
女の感性凄いと思った。ノンバンドのノンちゃんはずーっと活動を続けていて、うちの夫が東京でホームにしていた稲生座で会ったこともある。大作さんのプロステでベースを弾いていた高橋ヨーカイも稲生座に出入りしてた。
えー、あのプロステって盛り上がったこともあった。
じゃがたらはおもしろかった。ライブになると延々演奏を続け、踊る人がどんどん増えて、いつ果てるとも知れずにやってる。オールナイトなんてほんといつ終わるんだろうって感じだった。 (★ノンバンドもじゃがたらもレコード1枚しかなかった。)

「ストリートキングダム 自分の音を鳴らせ。」を見て、ああそんな時代もあったなぁと思いながら、今に繋がるものを認識し直す。それは未来に繋がるものでもある。


ここに挙げたバンドのレコード、聞きたい方は炎の雫をお訪ねください。レコードかけられます。(2026年㋃28日 水野佳)


補足 映画の中のバンド名について

TOKAGE:リザードの前身のバンド名「紅蜥蜴」から。峯田と若葉がカバーした「宣戦布告」はモモヨプロデュースのセカンドアルバム「BABYLON ROCKER」の1曲目である。

軋轢:フリクションのアルバムタイトルから。

ロボトメイア:ゼルダのファーストアルバ「ZERDA」収録曲のタイトルから。

解剖室:スターリンのファーストアルバム「trash」の1曲目のタイトルから。

ごくつぶし:じゃがたらのアルバムタイトルから。








2026年3月29日日曜日

3月21日と4月2日

 この2つの日付、なんの日か知っていますか?

3月21日は世界ダウン症の日、4月2日は世界自閉症啓発デー、どちらも国連が定めたもの。日本では4月2~8日までの1週間は発達障害啓発週間ともなっています。


3月21日、全国各地で行われたライトアップ。これは東京都庁です。ダウン症カラーのブルーとイエローにライトアップされました。

ブルーは「信頼・安心・つながりを、イエローは「希望・前向きさ・あたたかさ」を象徴しています。ダウン症の人たちが社会の中で大切な存在であることを可視化する世界共通のアクションです。


今年2026年の国際ダウン症連合のテーマは「Together Agaist Loneliness」日本では「ひとりじゃないよ」~孤独に立ち向かうために、共に~と表現され、各地でダウン症への理解を深めるためのイベントや行事が行われています。



ダウン症候群、21トリソミーは染色体異常。通常は23対46本ある染色体のうち、21番目の染色体が1本多くて3本ある、だから3月21日と定められました。ダウン症の人は800~1000人に一人程度産まれ、日本では8万人くらいのダウン症の人が生活しています。

ダウン症の人は、特徴的な顔立ち、体が柔らかく(筋肉の緊張低下)言葉や知的発達がゆっくりで心臓病などの合併症を持っていることが多く、難聴や斜視など感覚器の障害もある場合が多々あります。かつては20歳まで生きられないと言われていましたが、近年医学的社会的な環境の向上に伴い、飛躍的に寿命は延びて、ダウン症の人の寿命は今は60歳くらいになっているそうです。


最近は様々な分野でダウン症の人が活躍しています。

ちょっと前はダウン症の書道家金沢翔子さんくらいしか知らなかったけど、芸人さんとか俳優さんとかモデルさんとか、いろんなニュースを耳にします。

例えば、俳優の吉田葵さん、タレントのあべけん太さん、パリコレにモデルとして出た菜桜さん…。


私が思うに、ダウン症の人は明るくて積極的に前に立ちたがリ、結果人気者になってることが多いので、どんどんやればいいんじゃないかな。



一方4月2日は世界自閉症啓発デーです。世界各地でランドマークがブルーにライトアップされ、自閉症を理解してもらうための様々な取り組みが行われます。日本でも東京タワーはブルーにライトアップされます。(写真は2025年)。他にも、横浜の大観覧車、大阪城、姫路城、岡山城、熊本城、函館の五稜郭、札幌テレビ塔などなど、千葉ではポートタワーが青く染まります。

なぜブルーかというと、自閉症のシンボルカラーがブルーだから。神経を落ち着かせる青は安らぎの象徴であり癒しと希望の色、自閉症の人になぜか青を好む人が多いからでもあります。

2026年、今年のテーマは「ちがいはちから、つながりは未来」。



自閉症(最近では、ASD自閉スペクトラム症と呼ばれています。オーティズムとも。)は、生まれつきの脳の特異性によって、五感の一部またはすべてに特異性があり、そのため感覚過敏や特定の興味への強いこだわりが見られ、対人関係の構築やコミュニケーションに困難を伴う障害で、時に言葉や知的発達の遅れを伴います。

以前は、知的障害を伴わない自閉症を高機能自閉症とかアスペルガー症候群と分類していたこともあります。ですが今はこだわりの強さや対人関係の難しさといった共通の特性の中で、虹のように様々な色が含まれる連続体して捉えようという考え方に変わって、自閉スペクトラム症となりました。


「オーティズムのある子どもは、例えば文字が動いて見えたり、遠くの音がまるで耳元でなっているように聞こえたり、とても鋭い観察力を持っていたり。このような感覚を持ち合わせているために、外側からはわかりにくいのですが、日常生活で大変なストレスがかかります。一見不思議な行動は、『苦手な感覚を回避しているのかも?』私たちはこのような感覚を持っている方がいることをきちんと認識し、配慮した環境旁ををしていかなくてはなりません。」
(NPO法人あっとオーティズム ホームページより www.happy-autism.com

私とダウン症、自閉症の人との出会いは、杉並区の学童クラブでした。子どもが中学校に入って何かしたいと思って始めた学童クラブのパートでの障害児対応で、ダウンの女の子と自閉の男の子につくことになりました。当時、杉並区では原則として小学校1つに児童館が1つあって、学童クラブは児童館に設置され、障害児も受け入れていました。一般の子どもと一緒に過ごすので、障害のあるお子さんが事故やトラブルにあったりするのをできるだけ回避するのが仕事。ダウンちゃんは明るく元気で甘えん坊の女の子。自閉くんは知的障害があり自傷のある男の子。うるさいのが苦手で調子が悪いと自分の頭をたたき続けます。最初はびっくりして、どうすればいいんだかわからなくて。でも学童の先生の対応を見ているうちにだんだん対応の仕方がわかってきて、彼の信頼を得られるようになって。数人のパートでローテーションを組んで対応していたのですが、みんなそれぞれに得意不得意があり、相性があり、私は何故か自閉の子と相性が良かったようです。その次の年に学童に入ってきた自閉のかわいい男の子は、また全然違って、唐揚げしか食べなくて、ジブリのアニメが好きで、繰り返し見て「千と千尋の神隠し」のセリフすべて暗記していて、「ハクがしんじゃう」っていつも言ってました。思い出したら懐かしい。たくさんいろんなことがあって、大変だったけど、楽しかったなぁ。その頃、障害について何も知らなかった私は、彼らからたくさんのことを学ばせてもらいました。数年後に私は障害児の放課後クラブで仕事するようになり、もっと障害についても学びたいと思うようになり、東北福祉大学の福祉心理学科の通信過程で2度目の大学生をやることになりました。オンライン講座受けて、レポート書いて、時々スクーリング行って、こっちも相当大変だったけど面白い日々でした。


「すずちゃんののうみそ」という本があります。自閉症のお子さんを持つお母さんが、保育園の子どもたちの疑問に答えるために書いた本です。

「自閉症のことがすーっとわかってちょっと身近に感じる本」です。


例えば最初のページ、すずちゃんが食事している絵に添えられているのは、「すずちゃんは、ねんちょうのゆりぐみさんになってもおしゃべりができません。スプーンもうまくつかえません。きゅうにないたりわらったり、かみついたりすることもあります。」という文章。次のページには、「うごきもへんてこりん。どうしてかな。それは、うまれたときから、“のうみそ”がちょとだけみんなとちがうからなんだって。」とあります。こんな調子で、自閉症の特徴や原因が、小さな子供でもわかりやすく綴られていきます。


さらに巻末の付録として、ページに対応しながら「自閉症の主な特徴」があげられ解説されています。先ほど挙げたページに対しては、自閉症は発語が遅い、またはないことで気付かれることが多いこと、運動や動作が同年齢の子に比べて不器用なこと、記憶や情報処理の仕組みが違うため、情報過多になりやすく、フラッシュバックを起こして泣いたり笑ったり、癇癪を起したりすることが書かれています。これは素晴らしくて、子供もお母さんもこの本で自閉症のことを理解していけます。

ぜひ、読んでみてください。

「すずちゃんののうみそ」文・竹山美奈子 絵・三木葉苗 岩崎書店


もう一つ、ダウン症に関する本でご紹介したい本。

「アイちゃんのいる教室」、小学校1年生になったダウン症のアイちゃんとそのクラスの様子を追った写真絵本です。シリーズ化されて、アイちゃんのいる教室3年1組と

6年1組があり、全3冊。

今回、ダウン症についても「すずちゃんののうみそ」みたいな本を紹介しようと思ったのだけれど、そういえばアイちゃんてダウン症だった、と引っ張り出して読んだこの本に、改めて感動してしました。


アイちゃんは2003年生まれ、ダウン症。仙台の小学校の通常学級に入学します。体が小さくて背の順では一番前、くちぐせは「明日も頑張っていいですか。」

アイちゃん、何をするのもゆっくりだけど、先生もクラスのみんなも、できることはなるべく手伝わない、せかしたりせず、待ちます。すてきな先生、ステキなクラスです。

ダウン症の理解につながるとかはどうでもいい。障害があるとかないとかそういうことを超えて、人と人がぶつかりあい、わかりあってつながっていく、教育の原点がここにあります。


3年生になると、子供たちはアイちゃんには優しいけどアイちゃん以外の子は喧嘩ばっかり、先生は仲間って何だろうとみんなに問題提起。学芸会の劇の制作を通じてみんなで考え続けました。そして6年生。アイちゃんは頑張ることが難しくなっていき、できないんじゃなくてやらないじゃないかという場面が出てきたリ。それでもアイちゃんのクラスは、アイちゃんを含めてみんな考え続けます。先生は「何にでも答えがあると思わないで。考えて。」と伝え続けます。6年1組がたどり着いた結論は、にじ色クラス。『みんな輝け!にじ色に』。

「アイちゃんのいる教室」文・写真 高倉正樹 偕成社


3月21日は過ぎてしまったけど、画像を検索するとたくさんのブルー&イエローライトアップが出てきます。そして4月2日には、世界各地、172か国のライトイットアップブルーがニュースを彩ることでしょう。有名な大きな建物だけでなく、小規模なライトアップもたくさんあるみたいです。お住いの町でも穏やかなブルーのライトアップが見られるかもしれませんね。 (2026年3月29日 水野佳)






初夏の旅~奈良から大津へ

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