2026年4月28日火曜日

「ストリートキングダム」

遠い昔を思い出させてくれた物語を。


4月上旬、1本の映画を見た。「ストリートキングダム~自分の音を鳴らせ。」

監督・田口トモロヲ、脚本・宮藤官九郎、主演・峯田和伸・若葉竜也、原作・地引雄一。


「1978年ーたった1年を永遠にした若者たちがいた。その伝説的なムーヴメントが奇跡の映画化!」


東京ロッカーズと呼ばれたムーヴメントを題材にし、あの時代を追いながら、自分たちの理想の音を追い続ける若者たちの青春映画として、現代に生きる若者たちへのメッセージをも込めて作られた熱い映画。


「インディーズ」という言葉がまだなかった時代、自分たちでミニコミ誌を作り、レコードをプレスして、自分たちでライブシーンを作り出す。インディーズのDIY 精神。今では当たり前になっている「ロック・フェス・スタイル」や「オールスタンディング」、新しいライブスタイルは東京ロッカーズによって生み出された。

 物語は、セックス・ピストルズが解散した1978年、カメラマンの夢に挫折したユーイチが「ロッキン・ドール」という手作りのミニコミ誌を手にしたことをきっかけに、東京で次々とパンクに触発されているバンドが登場しているのを知る。ミニコミ誌を作るサチ、TOKAGEというバンドのモモと知り合い、カメラマンとして、また、自らが何をできるかを問いながら、関りを深めていく様を綴っていく。

登場するバンド・人物には実在のモデルが居て、ライブシーンの音楽はすべてオリジナルの音源が使われている。


ユーイチは原作者の地引雄一さん、演じるのは峯田和伸、彼は実際のミュージシャンで銀杏BOYZというバンドを率いていて、かつ俳優としても活躍している。


TOKAGEのモモのモデルはリザードのモモヨ、演じるは若葉竜也。昨年「アンメットある脳外科医の日記」というドラマで、主人公川内ミヤビ(演じたのは杉咲花)の婚約者の三瓶先生で一躍有名になった役者さん。(それまでも知る人は知る存在だったけど)


ミニコミ誌のサチのモデルはゼルダのチホ(バンド名は映画ではロボトメイアとなっている)、演じたのは吉岡里帆。最近では「御上先生」で松坂桃李の御上先生の同僚是枝先生を演じてた。まじめな先生とロックバンドのベーシスト兼ミニコミの編集者とのギャップがすごい。ベース似合ってる。 (★この写真は、私が持っているゼルダのレコード)


*余談ですが、御上先生のエンディングテーマ曲はONE OK ROCK の「Puppets Can`t

Control You」。ワンオクはこのころの東京ロッカーズみたいに、今の時代を自分たちで切り開いているDIY精神のバンドだというのは何かの巡りあわせか。(こじつけかな。)


その他の東京ロッカーズの面々。

軋轢のDEEPのモデルはフリクションのレック。演者は間宮祥太郎。これがめちゃくちゃかっこよかった。フリクションってこんなにかっこよかったっけ?


解剖室の未知ヲのモデルはスターリンの遠藤ミチロウで仲野太賀。今NHKの大河ドラマ「豊臣兄弟」で主役やってる。え、仲野太賀がミチロウ?って思ったけど、妙に納得させられたのはさすが。振り切れててお見事。


ごくつぶしのヒロミのモデルはじゃがたらの江戸アケミで、演じたのは中村獅童。何となく似てるかも。ラスト近くでお遍路さんの格好でモモのレコード店を訪ねてきて「戻ってきちまったぜ」とニヤリと笑うシーンがたまらない。


S-TORAのモデルはS-KEN 、演じたのは大森南朋。正直Sケンはよくわからない。東京ロッカーズのプロデューサー的役割が強いような。ちゃんと見てないしね。


さっき映画のライブシーンはすべてオリジナル音源と書いた。それは吹き替え、役者はあてぶりということ。撮影時は役者たちが実際に弾いてて、映画の編集段階でオリジナルの楽曲に乗せてライブシーンを作ってる。オリジナルのバンドの映像や写真を織り交ぜているところも多々ある。でも全然違和感がない。

役者たちはスタジオに入って練習を重ね、実際に演奏できるまでに上達したという。各バンド間で競い合い、「やばい、うまくなってる、うちももっと練習しなきゃ」なんてやってたらしい。

その中で、映画のエンディングテーマはリザードの「宣戦布告」のカバー、峯田和伸と若葉竜也が歌っている。

(★写真はパンフレットより)


役者のみならず、スタッフにも“熱”は伝わり、特に美術スタッフはレコードを作り、当時のライブハウスを詳細に調べ、街の有様などをいかに再現するかにのめり込んだという。


「東京ロッカーズのDIY 精神に感化されてクリエイティブ魂に火が付いた」


田口監督の情熱が俳優やスタッフに飛び火して燃え上がり、「ストリートキングダム」は「失われた時代の記録ではなく、若者たちが自分たちでアクションを起こせるようになった今の時代にこそ見るべき物語として完成した。」(パンフレットより)


東京ロッカーズはバンド名ではない。いくつかのバンドが集まって1978年にいくつかのライブを行い、「東京ロッカーズ」というレコードを79年に出した。マスコミに取り上げられるようになって個々のバンド足並みがそろわなくなり、東京ロッカーズの看板を下ろし、それぞれの道を行くことを決断した。だからたった1年。彼らの目的は売れることではなく、自分たちにとって最高の音楽をやること。かっこいい。


冒頭に、遠い昔を思い出させてくれた、と書いた。

私は実際に東京ロッカーズを同時代で見た体験者なのだ。


たぶん1980年代の初めころ、私は一人の男の子と出会った。彼は大学に入ったばかりで、どういう経緯か知らないがスターリンのミチロウに傾倒していた。私にとって彼はアリスのうさぎ、アンダーグラウンドのミュージックシーンへの道案内となった。


その頃私は芝居ばっかり見てて音楽は全然、ましてやインディーズやパンク系は全くの門外漢。彼に誘われるままに、ライブハウスや学祭に出入りした。そしてはまった。

面白い!


彼はスターリンの親衛隊で、ライブでは最前線で体を張ってお客さんを止める役を担っていた。スターリンはギグ(昔はよくギグって言ってた、今では死語かしら)を重ねる度に過激になっていったけど、初期はそれほどでもなかったように思う。なんかちょっとゴミ投げたり、鶏投げたりしてた。空間は張り詰め、異様な雰囲気、ミチロウのエネルギーは半端なく、どこからあんなパワーが湧いてくるんだろうと思った。ミチロウはステージを降りると穏やかで腰が低くてとてもいい人だった。

(★この写真は私が持ってるスターリンのレコード、3枚あったんだ。)


80年代に入ると、東京ロッカーズの流れを汲む様々なバンドが登場する。当時、大学はライブの大きな柱だった。京大西部講堂はもちろん、各大学でこぞってライブが行われた。東京だと法政大学とか武蔵野美大とか、横浜だと横浜国大とか神奈川大とか。私の水先案内人は横浜市大の学生だったので、よく横浜方面に行った。オールナイトもたくさんあったような気がする。この映画に登場するスターリン、ゼルダ、じゃがたら、フリクション、ノンバンド(お話部分には登場せず、本人の映像とレコードが登場)の他、水玉消防団、突然段ボール、吉野大作&プロスティテュート、スクリーン、コクシネル、灰野敬二…。

残念ながら、リザードとS-KENについてはほとんど見てない。本当の東京ロッカーズにはちょっと間に合わなかった。残念。リザードはちゃんと見たかったな。


当時好きだったのはノンバンド。彼
女の感性凄いと思った。ノンバンドのノンちゃんはずーっと活動を続けていて、うちの夫が東京でホームにしていた稲生座で会ったこともある。大作さんのプロステでベースを弾いていた高橋ヨーカイも稲生座に出入りしてた。
えー、あのプロステって盛り上がったこともあった。
じゃがたらはおもしろかった。ライブになると延々演奏を続け、踊る人がどんどん増えて、いつ果てるとも知れずにやってる。オールナイトなんてほんといつ終わるんだろうって感じだった。 (★ノンバンドもじゃがたらもレコード1枚しかなかった。)

「ストリートキングダム 自分の音を鳴らせ。」を見て、ああそんな時代もあったなぁと思いながら、今に繋がるものを認識し直す。それは未来に繋がるものでもある。


ここに挙げたバンドのレコード、聞きたい方は炎の雫をお訪ねください(2026年㋃28日 水野佳)










2026年3月29日日曜日

3月21日と4月2日

 この2つの日付、なんの日か知っていますか?

3月21日は世界ダウン症の日、4月2日は世界自閉症啓発デー、どちらも国連が定めたもの。日本では4月2~8日までの1週間は発達障害啓発週間ともなっています。


3月21日、全国各地で行われたライトアップ。これは東京都庁です。ダウン症カラーのブルーとイエローにライトアップされました。

ブルーは「信頼・安心・つながりを、イエローは「希望・前向きさ・あたたかさ」を象徴しています。ダウン症の人たちが社会の中で大切な存在であることを可視化する世界共通のアクションです。


今年2026年の国際ダウン症連合のテーマは「Together Agaist Loneliness」日本では「ひとりじゃないよ」~孤独に立ち向かうために、共に~と表現され、各地でダウン症への理解を深めるためのイベントや行事が行われています。



ダウン症候群、21トリソミーは染色体異常。通常は23対46本ある染色体のうち、21番目の染色体が1本多くて3本ある、だから3月21日と定められました。ダウン症の人は800~1000人に一人程度産まれ、日本では8万人くらいのダウン症の人が生活しています。

ダウン症の人は、特徴的な顔立ち、体が柔らかく(筋肉の緊張低下)言葉や知的発達がゆっくりで心臓病などの合併症を持っていることが多く、難聴や斜視など感覚器の障害もある場合が多々あります。かつては20歳まで生きられないと言われていましたが、近年医学的社会的な環境の向上に伴い、飛躍的に寿命は延びて、ダウン症の人の寿命は今は60歳くらいになっているそうです。


最近は様々な分野でダウン症の人が活躍しています。

ちょっと前はダウン症の書道家金沢翔子さんくらいしか知らなかったけど、芸人さんとか俳優さんとかモデルさんとか、いろんなニュースを耳にします。

例えば、俳優の吉田葵さん、タレントのあべけん太さん、パリコレにモデルとして出た菜桜さん…。


私が思うに、ダウン症の人は明るくて積極的に前に立ちたがリ、結果人気者になってることが多いので、どんどんやればいいんじゃないかな。



一方4月2日は世界自閉症啓発デーです。世界各地でランドマークがブルーにライトアップされ、自閉症を理解してもらうための様々な取り組みが行われます。日本でも東京タワーはブルーにライトアップされます。(写真は2025年)。他にも、横浜の大観覧車、大阪城、姫路城、岡山城、熊本城、函館の五稜郭、札幌テレビ塔などなど、千葉ではポートタワーが青く染まります。

なぜブルーかというと、自閉症のシンボルカラーがブルーだから。神経を落ち着かせる青は安らぎの象徴であり癒しと希望の色、自閉症の人になぜか青を好む人が多いからでもあります。

2026年、今年のテーマは「ちがいはちから、つながりは未来」。



自閉症(最近では、ASD自閉スペクトラム症と呼ばれています。オーティズムとも。)は、生まれつきの脳の特異性によって、五感の一部またはすべてに特異性があり、そのため感覚過敏や特定の興味への強いこだわりが見られ、対人関係の構築やコミュニケーションに困難を伴う障害で、時に言葉や知的発達の遅れを伴います。

以前は、知的障害を伴わない自閉症を高機能自閉症とかアスペルガー症候群と分類していたこともあります。ですが今はこだわりの強さや対人関係の難しさといった共通の特性の中で、虹のように様々な色が含まれる連続体して捉えようという考え方に変わって、自閉スペクトラム症となりました。


「オーティズムのある子どもは、例えば文字が動いて見えたり、遠くの音がまるで耳元でなっているように聞こえたり、とても鋭い観察力を持っていたり。このような感覚を持ち合わせているために、外側からはわかりにくいのですが、日常生活で大変なストレスがかかります。一見不思議な行動は、『苦手な感覚を回避しているのかも?』私たちはこのような感覚を持っている方がいることをきちんと認識し、配慮した環境旁ををしていかなくてはなりません。」
(NPO法人あっとオーティズム ホームページより www.happy-autism.com

私とダウン症、自閉症の人との出会いは、杉並区の学童クラブでした。子どもが中学校に入って何かしたいと思って始めた学童クラブのパートでの障害児対応で、ダウンの女の子と自閉の男の子につくことになりました。当時、杉並区では原則として小学校1つに児童館が1つあって、学童クラブは児童館に設置され、障害児も受け入れていました。一般の子どもと一緒に過ごすので、障害のあるお子さんが事故やトラブルにあったりするのをできるだけ回避するのが仕事。ダウンちゃんは明るく元気で甘えん坊の女の子。自閉くんは知的障害があり自傷のある男の子。うるさいのが苦手で調子が悪いと自分の頭をたたき続けます。最初はびっくりして、どうすればいいんだかわからなくて。でも学童の先生の対応を見ているうちにだんだん対応の仕方がわかってきて、彼の信頼を得られるようになって。数人のパートでローテーションを組んで対応していたのですが、みんなそれぞれに得意不得意があり、相性があり、私は何故か自閉の子と相性が良かったようです。その次の年に学童に入ってきた自閉のかわいい男の子は、また全然違って、唐揚げしか食べなくて、ジブリのアニメが好きで、繰り返し見て「千と千尋の神隠し」のセリフすべて暗記していて、「ハクがしんじゃう」っていつも言ってました。思い出したら懐かしい。たくさんいろんなことがあって、大変だったけど、楽しかったなぁ。その頃、障害について何も知らなかった私は、彼らからたくさんのことを学ばせてもらいました。数年後に私は障害児の放課後クラブで仕事するようになり、もっと障害についても学びたいと思うようになり、東北福祉大学の福祉心理学科の通信過程で2度目の大学生をやることになりました。オンライン講座受けて、レポート書いて、時々スクーリング行って、こっちも相当大変だったけど面白い日々でした。


「すずちゃんののうみそ」という本があります。自閉症のお子さんを持つお母さんが、保育園の子どもたちの疑問に答えるために書いた本です。

「自閉症のことがすーっとわかってちょっと身近に感じる本」です。


例えば最初のページ、すずちゃんが食事している絵に添えられているのは、「すずちゃんは、ねんちょうのゆりぐみさんになってもおしゃべりができません。スプーンもうまくつかえません。きゅうにないたりわらったり、かみついたりすることもあります。」という文章。次のページには、「うごきもへんてこりん。どうしてかな。それは、うまれたときから、“のうみそ”がちょとだけみんなとちがうからなんだって。」とあります。こんな調子で、自閉症の特徴や原因が、小さな子供でもわかりやすく綴られていきます。


さらに巻末の付録として、ページに対応しながら「自閉症の主な特徴」があげられ解説されています。先ほど挙げたページに対しては、自閉症は発語が遅い、またはないことで気付かれることが多いこと、運動や動作が同年齢の子に比べて不器用なこと、記憶や情報処理の仕組みが違うため、情報過多になりやすく、フラッシュバックを起こして泣いたり笑ったり、癇癪を起したりすることが書かれています。これは素晴らしくて、子供もお母さんもこの本で自閉症のことを理解していけます。

ぜひ、読んでみてください。

「すずちゃんののうみそ」文・竹山美奈子 絵・三木葉苗 岩崎書店


もう一つ、ダウン症に関する本でご紹介したい本。

「アイちゃんのいる教室」、小学校1年生になったダウン症のアイちゃんとそのクラスの様子を追った写真絵本です。シリーズ化されて、アイちゃんのいる教室3年1組と

6年1組があり、全3冊。

今回、ダウン症についても「すずちゃんののうみそ」みたいな本を紹介しようと思ったのだけれど、そういえばアイちゃんてダウン症だった、と引っ張り出して読んだこの本に、改めて感動してしました。


アイちゃんは2003年生まれ、ダウン症。仙台の小学校の通常学級に入学します。体が小さくて背の順では一番前、くちぐせは「明日も頑張っていいですか。」

アイちゃん、何をするのもゆっくりだけど、先生もクラスのみんなも、できることはなるべく手伝わない、せかしたりせず、待ちます。すてきな先生、ステキなクラスです。

ダウン症の理解につながるとかはどうでもいい。障害があるとかないとかそういうことを超えて、人と人がぶつかりあい、わかりあってつながっていく、教育の原点がここにあります。


3年生になると、子供たちはアイちゃんには優しいけどアイちゃん以外の子は喧嘩ばっかり、先生は仲間って何だろうとみんなに問題提起。学芸会の劇の制作を通じてみんなで考え続けました。そして6年生。アイちゃんは頑張ることが難しくなっていき、できないんじゃなくてやらないじゃないかという場面が出てきたリ。それでもアイちゃんのクラスは、アイちゃんを含めてみんな考え続けます。先生は「何にでも答えがあると思わないで。考えて。」と伝え続けます。6年1組がたどり着いた結論は、にじ色クラス。『みんな輝け!にじ色に』。

「アイちゃんのいる教室」文・写真 高倉正樹 偕成社


3月21日は過ぎてしまったけど、画像を検索するとたくさんのブルー&イエローライトアップが出てきます。そして4月2日には、世界各地、172か国のライトイットアップブルーがニュースを彩ることでしょう。有名な大きな建物だけでなく、小規模なライトアップもたくさんあるみたいです。お住いの町でも穏やかなブルーのライトアップが見られるかもしれませんね。 (2026年3月29日 水野佳)






2026年2月25日水曜日

防災訓練 炊き出し&AED

 

2月22日、地域の防災訓練がありました。

私の住んでいる所の自治会はいすみ市岬地区の停車場と言います。駅の近くだからついた名前でしょう。私たちがここに引っ越してきた10年ほど前は、100軒近い世帯数だったのですが、年々減り続け、今では60軒を切ってしまいました。

停車場防災会では、時々防災関係の集まりを行っています。過去には、お餅つきやバーベキュー、流しそうめんのような親睦を兼ねたイベントや、炊き出しと豚汁作り、おにぎり作って会員宅に届けたり、などなどやってきました。私は一応、停車場の防災会の役員になっていて、何かある時にはできるだけ働こうと参加しています。


今回は炊き出し訓練・カレー作りとAED取り扱い講習会。講習の企画は初めてです。実は新年会の時に何か防災でイベントやりましょうという話になって決めた企画。いつも参加人数があまりいないので、少人数でも消防が受けてくれるかなと思いながら申請を出したらOKで開催が決まりました。


当日は役員が8時半集合、一般の方は9時集合、炊き出しは10時までに終わらせ、10~11時が消防署員による救命とAEDの講習会。

11時からカレーの配布で、持って帰る方はここまで。食べて帰る方は集会所の中で食事して、でも12時過ぎにすべて終了する、というタイトな企画でした。


千葉県東方沖を震源とする震度7クラスの地震を想定。家屋の倒壊とインフラの切断を確認したとして、救助班と炊き出し班を編成。素早く炊き出し準備に取り掛かり、カレーを作り配布する。そのため、必要最低限の材料で、なるべく短時間で調理することを念頭に動きました。水道は使えないという設定で、日頃備蓄してあるペットボトルの保存水を使い、野菜や調理器具を洗うのも期限の切れたペットボトルの水を使いました。



炊き出し 炊飯とカレー作り


まずは集会所の外側にガスコンロと発電機を設置。いすみ市の補助金で購入した屋外用のガスコンロを使ってみることも今回の目的の一つです。新しいコンロとプロパンガスをホースでつないでみたけれど、なかなか点火せずちょっと苦戦。しばらくして無事に火が付き、まず大きい鍋でお湯を沸かす。

その間に野菜の準備。玉ねぎは皮を剥いてちょっと水につけてから切る。こうすると目がシバシバしないそうです。実は防災会の会長さんはお弁当屋さんで調理のプロ、いろんなこと教えてくれます。

にんじんはすり下ろす。これはピーラーを使いましたが、ご高齢の男性がこんなの使ったことないと言いながら、一生懸命におろしてくださっていました。

まな板は段ボールに使い捨てのまな板シートを置いて。具は玉ねぎとにんじんだけです。大きなお鍋をコンロの火にかけ炒めてお湯を入れて少し煮込み、カレールウとウスターソースとケチャップを入れて出来上がり。なるほど時短。


ごはんの方は炊飯器を使いますが、これは発電機から電源を引いて外のテーブルで炊飯します。お米はビニール袋で洗う。お米と水を袋に入れて、クチュクチュしてお米部分を持って水を捨てる、これを3回ほど。洗ったお米と水を炊飯器に入れてスイッチオン、あとはお任せ。




これとは別に袋でお米を炊く(ゆでる)実験も。こちらはカセットコンロで。

袋に80gの洗ったお米と120㏄のお水を入れたものを3つ作って、お鍋の底にお皿を置いて、お湯を沸騰させ、そこにお米の袋を入れて20分加熱。火を止めて蒸らします。これでごはんが炊けるの?多少心配。




なにはともあれ、10時5分前にはカレーの火を止め、実験のごはんの火も止めることができました。1時間でできるの??って思ってたけど、やればできるものです。忙しかったけどね。


救命講習とAED操作講習

予定通り、10時からは講習に入れました。消防車と救急車、5人の消防署員の方が来てくださり、人形を並べて準備。参加者14人が講習を受けました。


初めに緊急時の対応の講習。倒れてる人がいたらどうするか。

救命の4つの連鎖を教えていただきました。

それは

①心停止の予防ー生活の中での予防、薬の服用、事故の防止など

②早い119番通報

③早い応急処置ー心肺蘇生法、AED

④専門的処置ー救急隊や病院での治療

このうち①~③を担うのは一般人、私たちです。



★緊急時の対応の流れ


まず意識と呼吸の確認。両肩をたたきながら「わかりますか?」反応がなければ →「人が倒れています。誰かいませんか」→ 誰か来てくれたら、分担依頼「あなたは119番通報してください。」「あなたはAEDを持ってきてください。」同時に周囲の安全を確認。道の真ん中など危険があるところでは安全な場所に移動させる。→ 呼吸の確認。頭から足の方を斜めに見て胸やお腹が上下しているか見る。123456と数える、普通なら6秒に1回呼吸している。それで呼吸がなければ → 胸骨圧迫(心臓マッサージ)手を組んで肘を伸ばし、胸の中央・胸骨の下部を手のひらの付け根で5センチ沈むくらい強く押す。1分間に100~120回のテンポで。(本当は胸骨圧迫30回に人工呼吸2回の組み合わせで継続するのがよいが、感染の危険もあるため人工呼吸は行わなくてもいい。)→ AEDが到着したら電源を入れAEDの音声指示に従う。



AEDの操作

基本的には電源を入れ指示に従う。AEDの中にパッドを貼る位置を描いた図が入っている。電気ショックが必要なら充電が始まり、指示に従って動けばいい。ショック後胸骨圧迫を再開し、2分後にまた指示がある。電気ショックが必要ない場合はそう伝えられる。胸骨圧迫は、目的のあるしぐさが再開されればやめてもいい。


AEDを使うときの注意は、胸が濡れていたら拭くこと、湿布が貼っていないか確認すること、ペースメーカーが入っている人の場合はパッドを貼る位置に注意すること、ネックレスなどはAEDに当たらないようにすることなど。

これは最新式のAEDです。

AED自体がメトロノームのように1分間に120回のペースの音を出してくれるし、未就学児用のバージョンもあるそうです。未就学児!保育園の子どもでも使えるやつがあるなんてびっくりです。一般のは小学生以上用。


余談ですが、一昨年のドラマ「放課後カルテ」で、小学6年生の女の子が学校医の牧野先生(松下洸平)の指示でAEDでおじいさんを救う場面がありました。それが、AEDを使うところをきっちり全部見せていて、なるほどこうやるのかと思った覚えがあります。その通りでした。ドラマちゃんと正しく知識を伝えてました。

もう一つ、昨年「119エマージェンシーコール」という横浜消防の119番の指令管制員のドラマで、通報に対して胸骨圧迫の仕方も丁寧に教えていて、こちらもなるほどと思って見ていました。

今回の講習で「119番は岬の消防署にかかるのですか?」という質問があって、答えは千葉市のコールセンターにかかるということでしたが、とにかく119番にかけてくれれば、そこで教えてくれるのでその通りに従ってやれば大丈夫だから、とにかく通報してくださいとのことでした。通報大事です。


救急車は基本3人、運転が1人なのであとの2人で処置を続けることになるそうです。胸骨圧迫の継続が必要な場合は2人で交代で病院まで。このあたりだと、いすみ医療センターまで15分、勝浦の塩田病院までだと30分、それを2人で。大変です。

胸骨圧迫を人形でやってみたら、30回ですら疲れて、30回+2呼吸(人工呼吸の分)を4セット(か5セット、どっちか忘れた)やってみましょうと言われて、実践してみると、押してるだけでヘトヘト。それも「弱いです!」と指摘されながら、これ以上無理~なんて大変なのと思いました。消防隊員の方、すごいです。


きっかり1時間で講習を終え、消防の方が帰った後は炊き出し訓練の続き。屋外のテーブルで、出来上がったカレーを容器に入れて配布。カレーにはゆで卵とハムカツを添えました。食べていく方は屋内に入って食事。

時短カレー、味はどうかな、子供でも食べられるように全然辛くないのだけれど、玉ねぎの甘さが出ておいしいです!


実験で作ったビニール袋ごはんも味見してみます。うん、ありです。カレーだし、普通においしく食べられます。袋に入れてお湯に入れとくだけでちゃんとご飯になるんだ、覚えておくといいですね。ただ、残った袋ご飯を持ち帰って、翌日炒飯にしてみたら、なんとも不思議なものが出来上がりました。沖縄のジューシーみたいなもの、それはそれで美味しかったけど。


実はおかずも同じやり方でできるみたいです。蒸しパンとかもできるらしい。(蒸しパンはホットケーキミックス50gに牛乳50g入れて20分加熱すればいいそうです。)ネットにいろいろ出てるので検索してみてください。

★ビニール袋は耐熱性のあるもの、湯煎可の表示のあるものを使うこと!


お食事タイムは親睦も兼ねて、ちょっとお菓子や飲み物もいただきながらしばし歓談。

食事後手際よく片づけをして解散。半日にも満たないイベントなのに、こんなに濃密で意義深い時間は、そうそうないと思います。

参加者の皆様、お疲れさまでした!




*近隣のAED所在地

太東小学校、岬中学、岬児童館、セブンイレブン、ケーズ電気、関歯科医院など。太東駅や農協、コメリにはないそうです。

AEDのある所も、施設内のどこにあるかわからないし、人がいるときじゃないと借りられないし、緊急時に使えるかどうかは疑問です。「放課後カルテ」みたいに、神社にあって、誰でも持っていけるAEDはそうそうないでしょうから、日頃から状況の把握は必要ですね。

皆さんもお住いの地域のAED状況、確認してみてください。

それから、本文にも書きましたが、119番通報は、近くの消防署ではなく、広域のコールセンターにかかるので、住所は市町村も入れてちゃんと伝えましょう。


(2026年2月25日 水野佳)









2026年1月30日金曜日

最近入手した本

秋から冬にかけて、本を数冊手に入れました。ずっと欲しいと思ってた本たち。

2026年最初のブログはそれらを紹介しようと思います。


まずは、手に入って一番嬉しい本。

『仏像に会う 53の仏像の写真と物語』西山厚著 ウエッジ。


著者は奈良国立博物館で学芸部長を勤め、現在は名誉館員であり半蔵門ミュージアム館長。2020年に出版された時からずーっとほしいと思っていた本です。

期待通り素晴らしい!国宝と重文(重要文化財)だらけ、美しい写真と簡単で的を射た短い説明を添えてあります。選ばれた仏像はいずれ劣らぬ名品ぞろい。本当に素敵です。 

写真は大阪・葛井寺の千手観音座像。国宝。

この本、ほとんどが奈良の仏像で、たまに京都、あとの地域はごく少数。葛井寺は大阪といっても奈良に近く、橿原から近鉄で1時間弱で行けます。国宝の千手観音像、毎月18日に見られるので行きました。意外と小さめ、でもすごい!

普通、千手観音の手は42本、実際に千本の手があるものは少ない。でもこの千手観音は1042本の手を持っています。それぞれの手に眼が描かれていて、千手千眼観音です。

この本に掲載されている仏像、私が見たものは半分弱。まだ見ていない仏像を見に、旅に出たいものです。


次は絵本。

『やってみないとわからないでしょ』作・絵 SHOGEN 発行上田祥玄(クラウドファンディングにより制作)


SHOGENは日本人の画家。タンザニアのペンキアート・ティンガティンガに出会い、単身タンザニアのブンジュという村に渡り、ティンガティンガアーティスト・カンビリ氏に弟子入りして寝食を共にしながら絵を描く。

帰国後はティンガティンガの「人々を幸せにする絵」という精神を基に、「生きるのって楽しい!」をコンセプトに活動を続けています。


私がSHOGENさんを知ったのは、友達が「なんか東ティモールに通じるところがあるような気がする」と言って教えてくれたことから。ホームページを見て、楽しそうな動物たちの絵に魅了されました。なるほど、村の人たちの暮らし、動物や自然とのかかわり方はティモールの人たちの考え方に通じるものがあるかと思います。ポストカードでも買おうかなと思いつつ数年経ち、絵本があることを知って買いました。人間の女の子が主人公(モデルはブンジュ村の女の子ザイちゃん)登場する動物は少ないけれど、その色彩感覚はやっぱりね、という感じです。


SHOGEN ホームページは https://www.nzu-risana.com

著書に「今日、誰のために生きる?-アフリカの小さな村が教えてくれた幸せがずっと続く30の物語」があります。この本も欲しいかも。


絵本もう1冊。

『きょうというひ』荒井良二作 BL出版。


これはクリスマスに衝動買いしました。ろうそくの炎のシンプルな表紙。

「きょうというひの ちいさないのりが きえないように きえないように」

雪で作った小さなろうそくの家、繰り返される「きえないように きえないように」のフレーズ。心が暖くなる絵本です。


荒井良二は絵本作家、数々の受賞歴もあり、個展も開いてるし、作品は多数。

何年か前に千葉市美術館で荒井良二の個展を観ました。「new born いつもしらないところへたびするきぶんだった」と題した展覧会。とてもおもしろかったです。今年もこの展覧会は続いているようです。

名作「あさになったのでまどをあけますよ」は時々手に取ってみています。「あさになったのでまどをあけますよ」と繰り返され、窓の外の景色が描かれている、なんかいいんです。


読み物1。

『火明かり』アーシュラ・K・ル₌グィン著 岩波少年文庫。


ゲド戦記最後の書。去年の10月に出版されました。第1巻「影とのたたかい」が出版されて実に50年。短編が2つとル₌グィンの講演やエッセーが収められています。

「火明かり」は年老いてただの男になったゲドの最期を描いた短編。これが書きたかったんだろうなと思います。ゲド戦記の大ファンとしては感慨深い短編です。


ゲド戦記は何度読んだことか。深い、哲学的です。「火明かり」を読んだら、また1巻から読み返したくなりました。

個人的には、2000年代に入って書かれた「西の果ての年代記」3部作、「ギフト」「パワー」「ヴォイス」もとても好きです。

ル₌グィンはSF作家でもあります。「闇の左手」は読んでみたいと思いながらまだ果していません。


読み物2 

『自分とか、ないから。教養としての東洋哲学』 しんめいP著 サンクチュアリ出版。


ネットで見つけて、大ヒット中と書いてあって、大学哲学科で東洋哲学に興味ありの私としてはつい衝動買いしてしまいました。作者は東大卒、就職したけど上手くいかず退職、離婚もして実家で布団かぶって引き籠り、東洋哲学の本を読みまくってネットに書いてたら、それが編集者の目に留まって出版、すると20万部を超えるヒットになったとか。昨今の出版業界では2万部で大ヒット、10万部ならベストセラーと呼ばれるそうなので、立派なもの。読んでみようかなと。


結果、漫画みたいな本です。数時間で読める。確かにわかりやすい。6章立てなのですが、各章の題でほぼ内容わかります。「1章 無我 自分なんてない ブッダの哲学」「2章 空 この世はフィクション 龍樹の哲学」「3章 道 ありのままが最高 老子と荘子の哲学」「4章 禅 言葉はいらねえ 達磨の哲学」「5章 他力 ダメなやつほど救われる 親鸞の哲学」「6章 密教 欲があってもよし 空海の哲学」以上。面白いけど…、今の若い人にはこうしないと伝わらないのだろうなと思いつつ、これでいいのかなぁ、とモヤモヤが残りました。


番外編 まだ読んでない本

『NEXUS 情報の人類史』ユヴァル・ノア・ハラリ 河出書房新社


大大ベストセラー「サピエンス全史」の著者の新作。(因みにサピエンス全史は全世界で4500万部を突破したそう、すごい!でもね、「ハリー・ポッター」はシリーズで世界6億部以上、第1巻の賢者の石だけで1億7000万部ですって、びっくりです。)


NEXUS、「言葉、文字、印刷、コンピューター、そしてついに登場したAI。古代からAI時代まで、人類の歴史をかつてない視座で読む。」との謳い文句。


夫が今上刊を読んでいます。夫は前からこれ読みたいと言ってて、信頼できる友達が、サピエンス全史よりこっちの方がすごいと言ったので買いました。私は、サピエンス全史も読んでないから、読むならそっちからと思って、でもまだ手も付け付けずにいます。


以上、秋から冬にかけて入手し、読んだ本たちのご紹介でした。


今、炎の雫の店内の本の展示台は「最近入手した本と冬に読みたい本」と題して、私の独断と偏見で選んだ本を並べています。

千葉在住の詩人・大島健夫さんの新作詩集も追加しました。


まだもう少しこのままにしておく予定です。温かいコーヒーでも飲みながら、手にとってみませんか。  (2026年1月30日 水野佳)













「ストリートキングダム」

遠い昔を思い出させてくれた物語を。 4月上旬、1本の映画を見た。「ストリートキングダム~自分の音を鳴らせ。」 監督・田口トモロヲ、脚本・宮藤官九郎、主演・峯田和伸・若葉竜也、原作・地引雄一。 「1978年ーたった1年を永遠にした若者たちがいた。その伝説的なムーヴメントが奇跡の映画...