2019年9月28日土曜日

台風から考えたこと

9月8日から9日にかけて、台風15号が房総半島を通り抜けていきました。

 

当初はコンパクトな台風と報道され、誰もがそんなに大したことはないだろうと思っていましたが、予想に反して、千葉では大きな被害が出ました。雨に加えて、ものすごい強風だったようです。その後、停電に断水、それも復旧までに何日も、場所によっては2週間もかかり、屋根が飛ばされたり、破損した家も多数、大災害になりました。

 

炎の雫では、看板が壊れました。手作りの看板は支柱が折れて叢に落下、フェンスに付けていた細長い看板も落ちて端から20㎝くらいはどこかにいっちゃった状態でした。(後に折れた部分は見つかりましたが)

この周辺では、停電も断水もほとんどなく、それくらいでで済んだのはラッキーと言えます。

 

実は、台風の時、奈良へ旅行中でした。

台風が来るらしいと分かっていたので、外に出してあるものは多少片付けていきましたが、私たちも大したことなさそうと思い、雨戸も閉めずに出かけました。土曜日くらいから、千葉は直撃みたい、え、電車止まるの、停電してるの、とニュースを見て、鉄塔が倒れたのか、市原は大変ねと他人事気分でした。

 

ところが数日経っても、停電は減るどころかむしろ増え、いすみ市も停電してるというし、外房線も内房線も動いてないという、だんだん不安になってきました。屋根が吹き飛んでたらどうしよう、停電してたら冷蔵庫は‥、なんて考え始めました。試しにうちに電話をかけてみると、留守電が出た!とりあえず停電はしてないみたいと確認できました。帰る日(11日の水曜日)になっても状況は変わらないし、詳しいことは分からない。外房線は一部動き出したらしい、帰れるかしらと思いながら帰路につきます。

 

電車の状況はJRの奈良駅で聞いても、京都駅で聞いてもわからない。東日本のサービスセンターの電話を教えてくれたけどつながらない。新幹線の車掌さんに聞いてみると、JR東海だからわからないという。実は東京駅についてから聞いても、東海道新幹線の改札内はJR東海だから改札を出てからJR東日本にきいてくれと言われました。管轄外はわからないの連発。こんなに情報網が発達しているのに、どういうことかしらと思ってしまいました。さらに言えば、東京駅の東日本管轄で聞いたら、外房線は上総一ノ宮まで本数を減らして動いているとのこと、それはネットでわかっていたので、どのくらいの頻度で動いているか聞くと、まったく把握していない、結局ホームに行ってみるしかありませんでした。全然情報化社会じゃないですね。

 

一ノ宮からタクシーに乗って帰り着きました。恐る恐る見回すと、看板が落ちて、網戸が外れて落ちたくらい、家の中は異常なし。ほっ。

ところが千葉は大変なことになっていました。停電、コンビニもスーパーも開いていない、たまにやっててもほとんど何もない、ガソリンスタンドは長蛇の列、瓦が飛んだ、屋根そのものが飛んだ、断水でお風呂も入れないからホテルが大浴場を開放する、自治体がスマホの充電できる場所を設定しブルーシートを貸し出し給水所を設定する。まるで東日本大震災の時みたいです。事実、たくさんの人が震災の時を思い出したと語っています。震災の時よりひどい状況と言っている人もいます。停電が2週間なんて考えられませんよね。。

 

長引く停電の原因は倒木でした。千葉ではよく倒木で電車が止まることがあります。台風や強風の後の倒木・倒竹はよく見かける光景です。倒れた木が邪魔をして電気の復旧工事ができない。倒木の撤去のために自衛隊が入ったのは何日目でしょうか。しばらくたってからでした。何でもっと早く派遣要請をしなかったのか、状況が把握できなかった、それどころではなかった、という自治体が多いようです。初動対応が大切、そのためには有能な自治体のトップが必要。残念ながら、有能なトップがいるところは少なかったようです。市長なんてどうでもいいやなんて思ってはいけない、いざという時に死活問題にかかわってくるのだと感じました。

 

一番最後まで停電が続いた山武市では、特産の山武杉の倒木が相次ぎ、そこここに倒れた木があって作業が進まなかった。何でそんなに杉が折れたのか、だんだんと事情が分かってきました。ほとんどの杉が幹の中が空洞化する溝腐病にかかっていたとか、その状態を行政側は把握していたけれど、対策が追い付いていなかった。そもそも山武に植林された杉は、溝腐病のものを接ぎ木した苗木だったらしい、それがわかって、当時の持ち主は手を引いてしまい、林業の衰退とともに所有者不明の山林が残されたまま今に至っているとのこと、これは完全に人災です。三武市の停電が解消されたのはつい数日前です。ひどいですね。

過去に不適切なことをすれば、いつかそのつけは回ってくるのだということを改めて思いました。

 

停電の話。

いつも思うのですが、停電の時オール電化の家は悲惨だろうなと。電気が止まっても、ガスが使えればごはんは作れる。ストーブがあれば暖は取れる。給湯器じゃなくて昔ながらのガス窯ならお風呂だって沸かせます。実際、停電の中、ろうそくの灯をともし、食事をしてお風呂に入ったこともあります。電話も通じました。今はほとんどのものが電気を使っているからみんな使えなくなります。それでもうちではまだ、ガスコンロと石油ストーブ(ファンヒーターじゃなく)があり、電話も古いダイヤル電話がとってあるから差し替えれば使えます。何でオール電化なんかにするんだろう、停電したらどうするんだろう、みんなそんなこと考えないのかしらと常々思っていました。ちょっと調べてみたら、オール電化は災害に強いと書いてあります。どういうこと?電力会社によれば、災害の時一番早く復旧するのは電気で、数日あれば復旧するからとのこと。今回みたいな2週間も停電なんて想定されていないのです。でも実際に起きちゃったんですから、電力会社の言うことを鵜呑みにするのは止めましょう。オール電化の説明の中に、災害への備えとしてカセットコンロを置いておくというのがあり、笑っちゃいました。だったら普通のガスコンロの方がいい、オール電化でない方がいいですね。

 

停電の時の冷蔵庫の話。

停電の不安で一番大きいのは冷蔵庫の中身。停電してからどのくらいもつのでしょうか。公式には、冷蔵庫を開けない状態で2~3時間は大丈夫、その後は徐々に温度が上がっていきますと書いてあります。ただ実際にはもっともつみたいです。半日とか15時間とか、32時間停電したけどほとんど大丈夫だったとか、中には3日間停電しても冷凍庫の中のものはほぼ融けず、冷蔵室の食べ物も大丈夫だったという人もいました。季節や地域などの条件もあると思いますが、長時間大丈夫だった方の共通点は開けないこと。まったく開けなかった、一度しか開けなかった、という方がほとんどでした。

停電の冷蔵庫の話題で、これは役に立ちそうという記事を見つけました。それはペットボトル氷、日頃からペットボトルに水を入れて凍らせて冷凍庫に入れておく、それが停電の時威力を発揮したと。冷凍庫の保冷にもなるし、冷蔵庫に移し保冷材がわりにしたり、飲み物を冷やすのにも使える(水に氷を入れてもすぐ融けちゃうけど、その逆ペットボトルの中に水を入れて数秒待つといいそう)、融けてきたら飲み水にする。冷凍庫はモノがぎっしり入っている方が冷気を保てるので、冷凍庫に隙ができたらペットボトルに水を入れて凍らせておくとよいとのこと。これいいですね、停電対策と水の備蓄、さらに熱中症対策として体を冷やすのにも使える、一石二鳥以上です。

 

台風で屋根が飛ばされたところも多数あります。ボランティアによる復旧作業が始まったのも遅かった。一生懸命働いている方がたくさんいらっしゃる反面、ボランティアにまつわる話もいろいろ聞こえてきました。もちろん善意の方々が多数だと思います。ただ、実際に働かず、(働けず、ではありません)ボランティアに指図するだけとか、自分でできることもやってという方に違和感を覚えたという話。善意で被災ゴミの一時置き場として土地を提供したら、台風災害とは関係ないだろうゴミがどんどん集まってきていっぱいになってしまったとか‥。こんな時に、そんな話を聞くと悲しくなります。ニュースでも報道されたブルーシート詐欺も然り、人には善悪両面あるのだと思い出させてもらった、ここ半月でした。

 

奈良のことを少しだけ。

このところ毎年行っている奈良、今年も山の辺の道を歩き、素敵な仏像をたくさん見てきましたが、今回面白いところを見つけたのでご紹介します。

それは、ならまちにある、無人キャッシュレスの本屋さん「ふうせんかずら」。

ブックカフェを検索していて見つけました。無人ってどういうことかっていうと、会員制なのです。ネットでブックメンバー登録し、IDナンバーをもらってその番号で鍵をあけます。中に入って本を見て、いつまでいてもいい、毎日7時から23時まで利用可能、気に入った本があればpadで入力しカードリーダーを使って決済します。出るときはエアコンだけ消して、ドアを出ると自動的に施錠されるシステム。

システムも面白いのですが、本屋としての中身が素晴らしいのです。棚ごとに、9人のブックオーナーがセレクトした本が並べてあります。アート系、漫画系、絵本系、詩や評論、奈良にまつわる本、個性あふれる本棚。時間がいくらあっても足りない、いつまででもいられる、そんな本屋さんです。欲しい本はいっぱいあり、値段と相談しながら、数冊買ってきました。私は、四ツ谷シモンの「人形日記」と「まどみちお詩の本」、夫は諸星大二郎の特集本。ね、すごいラインナップでしょう?ふうせんかずらが近くにあったら、通いつめちゃうだろうなと思います。奈良へ行ったら、必ず行きたい場所が、また一つ増えました。

 

折れた細長い看板にロゴマークを書いてフェンスに取り付け、落ちた看板を下に置き、とりあえずの修復をしました。

細長い看板は、高円寺の時に外側の壁に貼っていたものです。

このところ、他のこともいろいろあって、なかなか看板製作には至っていませんが、そのうち何とかしましょう。

 

来週の金曜日、10月4日の寺田町ライブのチラシも貼っておきました。半年ぶりのライブです。ぜひ聞きに来てください。

(9月28日 佳)

 

新生・炎の雫

「炎の雫」新しくなりました。 東ティモールコーヒーから自家焙煎コーヒーへ。コーヒーの銘柄を増やして、カフェでも飲めるし、豆の販売でもご購入いただけるようになりました。 ラインナップに加わったのは、タンザニア・コロンビア・メキシコ・グァテマラ・エチオピアシダモの5種類。 また、焙煎...