2019年8月17日土曜日

真夏の現代アート


毎日暑いですね。

 

7月が涼しかったせいか、8月になって厚さが堪えます。

今年の方が去年よりばてるような…...

 

そんな中、美術館に行って、元気をもらってきました。

 

品川の原美術館で開催中の

「加藤泉 LIKE  A  ROLLING  SNOWBALL」

  面白かったです!

加藤泉さんは1969年生まれ。90年代半ばから作品を発表、2007年のヴェネツィアビエンナーレをきっかけに国際的に活躍。絵画、彫刻にとどまらず、キャンバス、木、石、布、ソフトビニール、革、鎖、多彩な素材を使った、大胆なインスタレーションが魅力的です。

パンフレットに、「原始美術を思わせるミステリアスで力強い人物表現を特徴とする」とありましたが、まさにプリミティブ、どことなく縄文の土偶にも似ているような、マヤ・アステカ文明に通じるものがあるような、それでいて宇宙人のようでもあり。

「元は個人の邸宅として建てられた原美術館の独特の空間と親密な対話を交わすように散りばめ」られた作品たち、部屋の片隅に石の人形が寝ていたり‥‥。

あ、こんなところにもいる、見つけると思わず嬉しくなります。

庭にも‥‥。まるで精霊です。

2階のとある部屋。

一緒に行った現役の児童館長の友達が言いました。「まるで児童館みたい」

学童クラブのお昼寝を思い出しました。なんか、思わず微笑んじゃいます。

 

原美術館は、屋外にも館内にも、常設展示があります。

奈良美智の部屋は元浴室、須田悦弘作品は元暗室、森村泰昌の部屋は来客用のトイレだったとか。今回の展覧会、それらの作品と全く違和感なく共存しています。全然知らなかったけど、一気に加藤泉さんのファンになりました。

(常設作品は写真撮影禁止でした。

屋外にはイサム・ノグチとか李禹煥とかそうそうたる作家の作品が。)

原美術館、本当に素敵な場所でした。

 少し遡りますが、7月の末にボルタンスキーにも行ってきました。

「クリスチャン・ボルタンスキー Lifetime 展」国立新美術館。

 

ボルタンスキーはフランスを代表する現代美術のアーティスト。

絵画、彫刻、写真、映画、インスタレーション… 多彩に、世界的に活躍しています。

彼のテーマは、個人や集団の記憶、存在、不在。宗教や死。

自らを空間のアーティストと称しています。

 

昨年、大地の芸術祭・越後妻有アートトリエンナーレでボルタンスキーを知りました。廃校になった小学校の教室で踊る幽霊たち。どこかユーモラスで妙に親近感が湧く姿に惹かれました。過去最大規模の回顧展と聞き、行ってみることにしました。

 

会場は闇の中。そこに、苦しそうに咳をする男と人形をなめる男の映像作品が映し出される。

モノクロの写真の周りには小さな電球の光が配置され、まるで祭壇のよう。

がいこつや幽霊たちの影が踊る廊下。

壁から吊り下げられた、色とりどりのたくさんの衣服。

紐でできたカーテンはスクリーンとしてイメージ映像(ボルタンスキー自身の6歳から75歳の顔)が投射され、その紐を通り抜けて向こう側へ。そこにも写真と電球と。たくさんの死んだスイス人の写真は何を訴えているのか。

奥の部屋には、黒い服を積み上げて作った「ぼた山」。まわりに立つコートは、近くにいくと語りかけてくる。「死ぬってどういうこと?」

そこを抜けると青い海と空の映像、パタゴニアの海岸に置いたオブジェは鯨とのコミュニケーションをこころみているらしい。

出口近くには、床に置かれたたくさんの電球、毎日3つずつ消えて、展覧会最終日には全部消える。

向かい側には金色の海、上を電球が行ったり来たり。その間の空間でも、子どもの顔を映した何本もの四角いフレームの間で電球が揺れて、影が長くなったり短くなったりしている。

最後は「ARRIVEE」-到着の文字が浮かぶ。

 

会場全体が一つの大きなアート作品、すごいなあ。

ボルタンスキーは神話を作りたい、神話はアートよりも強い、と言っています。

 

ものすごく前衛を感じた展覧会でした。見るにはエネルギーが要ります。

ただ、美術館の中に作られた廊下より、新潟の廃校になった小学校の方が、幽霊たちも楽しく踊れるんじゃないかなと思ってしまいました。

がいこつのオーナメント、思わず買ってきちゃいました。でも、なかなか、影をうまく映すのは難しい。当然ながら、そのための光源が必要で、当然ながら人工的な力がなければうまくいかない。この展覧会自体、ものすごい数の電球や、たくさんの電気を使っているわけで、改めて現代アートって何だろうと考えてしまいました。そう考えると、現代アートでも、石にアクリル絵の具で色付けて、木の股に置いてみたり、庭にお地蔵さんみたいに置いてみたり、という加藤泉さんはいいなあ。ま、ビニールで作った人形もあったけど。

 

番外編。

現代アートじゃないけれど。

 

ボルタンスキーの前に、鎌倉に行って、

東慶寺の水月観音を見てきました。

 

岩にもたれて、水面に映った月を見る観音像。鎌倉時代、13世紀のもの。高さ34㎝と小さいけれど、そんなことはどうでもよくなるほど、優美なお姿に魅了されました。

 

特別拝観で、時間が決まっていて、毎日9:30と14:00の2回。電話予約が必要です。絶対お薦め、予約する価値あります。

少し涼しくなったら、行ってみてください。

(北鎌倉、すごく暑かった!!結構大変でした。)

 

 

それにしても暑い!

今日、うちの中は33.6℃、試しに日の当たる窓際に温度計を置いてみたら、41.8℃!!

コーヒー豆の注文も減っています。と思ったら、今日札幌の人から注文のメールが。「暑さも去ったのでコーヒーをお願いします。もう涼しいです、濃いコーヒーを飲みたくなりました。」ですって。うらやましいですね。北海道以外は、まだまだ暑さは続きそう、皆様ご自愛ください。

 

*原美術館は2020年末に閉館になり、群馬県の伊香保にある原美術館アークに統合されます。

 「加藤泉 LIKE  A  ROLLING  SNOWBALL」展は、来年の1月13日まで。品川とアークと両方で開催中です。(展示作品が違います)私は、アークにも行こうかしらと思っています。(8月17日 佳)

 

新生・炎の雫

「炎の雫」新しくなりました。 東ティモールコーヒーから自家焙煎コーヒーへ。コーヒーの銘柄を増やして、カフェでも飲めるし、豆の販売でもご購入いただけるようになりました。 ラインナップに加わったのは、タンザニア・コロンビア・メキシコ・グァテマラ・エチオピアシダモの5種類。 また、焙煎...