2023年7月25日火曜日

氷出しコーヒーと4:6メソッド

 

久しぶりのコーヒー話題。

氷出しコーヒー。最近見つけました。これがとてもおいしいのです。水出しもすっきりしてしていいけれど、氷出しはもっとずっとしっかりしていて、でも甘みやコクもあっておいしい。しかも簡単。かかるのは時間だけ。

ドリッパーにペーパーフィルターを貼り付けて挽いたコーヒーを入れ、ホットで出すときと同様にちょっとお湯で湿らせて、その上にペーパーをもう1枚のせて氷を入れる、あとは待つだけで超おいしいアイスコーヒーになります。

この写真では、うちのカリタの大きい方のドリッパー〈2~4杯用)で、粉30gに氷300gでやっています。

調べてみると、これは粕谷哲というバリスタさんが考案した方法。本家ではもっと簡単で、コーヒーの粉の上に直接氷を積み上げていく、まるでジェンガみたいとか言いながら楽しそう。先に粉を湿らせておくのもなしで、その代わり氷を全部入れてからちょっとだけお水を回し入れます。本家は粉50g(中粗挽き)で氷500g、ハリオのV60の03ドリッパーでやっていました。私が見たのは、誰かがアレンジしたやり方だったようです。

粕谷哲さんのおいしいアイスコーヒーの作り方3種のうちの最もおすすめがこの氷出し。あとはエアロプレスを使う方法と4:6メソッドを使って急冷する方法。エアロプレスはちょっと一般的じゃないので置いといて、4:6メソッドについて説明します。

粕谷哲さんについては、私は名前は聞いたことあるな程度でした。4:6メソッドは全然知らなかった。でもかなり有名なので、コーヒー好きの方なら知っている人は多いかもしれません。

粕谷さんは2016年のワールドブリュアーズカップのアジア人初の世界チャンピオン。彼が優勝した時に使った方法が4:6(よんろく)メソッドです。今では世界中に広がって、最近のコンテストでは4:6メソッドを使っている人が多数いる、バリスタさんの中で世界的なスタンダードになっているみたいです。
粕谷さんはⅠ型糖尿病で糖分のないコーヒーを飲み始め、自分で淹れたコーヒーがものすごくまずかったのをきっかけにコーヒーの研究を始めたそうです。

4:6メソッドは、誰でもおいしいコーヒーが淹れられる方法。テクニックではなく、見える形で、具体的には数字で(つまりきちんと計ることによって)調整していくという画期的な方法です。本当に?と興味を持ちました。中でも私が興味をひかれたのは、お湯を注ぐ回数で濃度を調整するという点、お湯の量じゃなくて??なにそれ??
全体を4:6に分け、4で味わいを、6で濃度を調整するそうです。

使う道具は、ハリオのドリッパーとスケールと温度計とポット。この他に、三角のペーパーフィルターとコーヒーを貯めるサーバーか計量カップ。(お湯の落ちるスピードが違うのでドリッパーはハリオじゃないとできない。普通のハリオなら600円代で買えます。)粕谷さんはハリオのアンバサダーで、ハリオには粕谷哲監修のリブ(溝)を改良し4:6メソッドに対応した「粕谷モデル」というドリッパーもあります。因みに、最近のバリスタの大会で使われているのはほぼハリオ。昔はドリッパーと言えばカリタかメリタだったのにね、なんて思うのは一定年齢以上の人。若い人はハリオが多い。そういえば、三角ペーパーフィルター、ダイソーでも売り始めましたね。

4:6メソッドの基本のやり方。
コーヒー中粗挽き20g。お湯300g。お湯の温度は、豆が浅煎りなら93℃、中煎り88℃、深煎り83℃が目安。基本はお湯を60g×5回
に分けて注ぐ。
ペーパーフィルターはお湯を通しておく。サーバーとドリッパーをスケールの上に置いて0に設定。基本は60gずつだが、これを変えることによって味わいと濃度が変わる。前半の2回で味が決まる。例えば1投目を50gに2投目を70gにするとより甘みが増し、逆にするとすっきりとした酸味が出る。後半の3回で濃度が調整できる。例えば後半の3回分の180gを一気に注いでしまうと薄くなり、60gずつ分けて3回で注ぐとより濃くなる。
(写真は粕谷さんのやっているPHILOCOFFEAのホームページから引用しました)

なんといっても正確に測りながらやることがポイント。計算しながらだと間違えちゃうから、うちでは1回分ずつ足した数字をメモしといてやりました。後半を4回に分けたときは、60、165、210、255、300って感じで。

実験のポイントは、お湯のトータルな量が同じなのに濃さが変わるのかという点。だから後半を変えていろいろやってみました。すると、飲んでみたら、本当に濃度が違う。不思議です。
普通は濃さを変えるというのは薄め方を変えること。私たちが日常やっている松屋式ドリップは必要量の半量出してお湯で薄めるやり方(濃く出して雑味が出る前に抽出をやめてしまい、お湯で薄める)ですが、松屋式で濃さを変えるのは薄めるお湯の量で調整します。

この写真は4:6メソッドで、左が後半180gを1回で注いでしまったもの、右が45gずつ4回に分けて注いだものです。写真だとわかりにくいかな、右の方が濃いです。飲んでみると全然違います。冷めてくるともっと違いが判ります。左の方は酸味が強く出てきます。
え~何で? おもしろい。
だとすれば、前半のお湯の注ぎ方を変えたら、甘みの調整ができるはずです。こっちもやってみなくちゃ。まだやってないですが。

アイスコーヒーに戻りましょう。
4:6メソッドを使った急冷式のアイスコーヒー。氷の上に抽出する。サーバーの中に80gの氷を入れておく。20gの中挽きの粉に150gの90℃のお湯を5回に分けて注ぐのが基本。始めに30g注いでドリッパーを振る(スプーンで混ぜても)40秒おいて2投目30g入れてまた振る。あとは30秒ごとに30gずつ。コーヒーが落ちきったらかき混ぜて氷を溶かす。甘さを出したければ1投目を20gに、逆にすっきりしたのが飲みたければ1投目を40gにする。オーソドックスできれいなコーヒーになる。確かに、こっちもおいしい。粕谷さんはスッキリしたのがよければ急冷、トロッとしたおいしさは氷出しと言っています。

4:6メソッドがなぜ世界中に広がったのか、たぶんそれはいくらでもアレンジのしようがあるからでしょう。確かに基本はある、でも変化のつけ方は自由自在。こうやってみよう、ああやってみようと変えられる。その中から自分の配合、自分のやり方を見つけられる楽しさがある。
そして、確かに美味しい。私はカリタで淹れたコーヒーがあまり得意じゃなくて、コーヒー好きじゃないと思っていたけど、松屋式に出会って変わりました。松屋式で淹れたコーヒーの雑味のなさ、すっきり感が大好き。お店でも基本松屋式で提供しています。ですが、夫は松屋式だとすっきりしすぎていて、時々ちょっと物足りないと言います。そこに登場した4:6メソッド、松屋式より微妙に雑味が残っていていいかも、と言っています。

4:6メソッドについては、本も出てるし、粕谷さんのYouTubeもいろいろあるので、興味がある方は検索してみてください。
4:6メソッド、まだまだ探求の余地あり。しばらく遊べそうです。

お知らせ
クレジットカード決済、電子マネー決済、スマホ決済が使えるようになりました。今まで通り、paypay、au pay、楽天payのQR決済も使えます。また、郵送購入時、クレジットカードでのオンラ決済もできるようになりました。ベイスのネットショップを通さなくても、メールでのご注文でクレカ決済での支払いができます。どうぞご利用ください。
(2023年7月25日 佳)

★追記 7月29日
氷出しコーヒーについて 本家のやり方、氷をのっけてあとから水を回しかける方法でやってみたところ、薄くてお茶みたいになってしまいました。やっぱり、最初に粉をお湯で湿らせてからやった方がいいみたいです。ドリップするときと同様、少量のお湯でコーヒーの粉を湿らせてから氷を乗せて置いておくと、とてもおいしい氷出しコーヒーができます。ご参考までに。














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