2023年3月27日月曜日

春、桜の季節です。

これは先週の水曜日、千葉公園で撮った写真。まだちょっと早いかなと思いつつ行ってみたところ、ちゃんとお花見になりました。千葉公園は初めてでしたが、昔いつも行っていた井の頭公園を彷彿とさせる佇まい。なんだか懐かしい気がしました。

桜はバラ科桜属の落葉広葉樹。花は同じ形の花びらを5枚持っています。

桜は古代から日本に存在しています。「古事記」には、「木花開耶姫-このはなさくやひめ-が霞に乗って花の種を撒いた」という記述があり、“さくや“が桜の名の由来であるという説も。弥生時代は桜の開花が農作業開始の合図だったと言います。お花見を始めたのは奈良時代の貴族たち。当初は、花は梅の花、それが平安時代に桜になって、嵯峨天皇の催した日本で最初のお花見会は、桜を愛でていたとか。鎌倉時代になると武士の間でもお花見の宴が行われるようになります。安土桃山時代、豊臣秀吉の盛大なお花見「吉野の花見」「醍醐の花見」は有名ですよね。(吉野は今でもそうですが山桜の里、このころ、ソメイヨシノはありません。醍醐寺には今はソメイヨシノも含む多彩な桜が植えられています。)江戸時代には、庶民もお花見を楽しむようになり、また「日本に昔から存在するものこそが至上」とする国学の影響で、桜が賛美されるようになっていきます。次第に、桜は特別な存在になっていきました。

桜は、樹そのものの寿命は長く、樹齢100年を超えるものも多々あるのに、花の期間はごく短い。一瞬にして咲き乱れ、はかなく散っていく様は日本人に愛され、生死の象徴として崇拝されて来ました。

日本にある桜の種類は100種以上とも言われていますが、自生する基本の種類は、エドヒガン、ヤマザクラ、オオシマザクラ、カスミザクラなどの9種類。野生の桜はみんな山桜系です。この写真は、うちの庭にあるヤマザクラ。毎年どんどん伸びて大きくなるし、ほっといてもいっぱい咲きます。花は白くて、葉っぱと一緒に咲くから地味。江戸時代までは、桜といえばヤマザクラ。
オオシマザクラは、花は大きい。丈夫で潮風にも耐えるので海岸にもある。野生化が進んでいて、本来伊豆周辺に自生していたものが、日本全国で確認されるようになっているって、知りませんでした。
エドヒガンは大きく育ち長寿、天然記念物に指定されているような桜は、ほとんどがエドヒガン。花は白からかわいいピンク。

さて、かの有名なソメイヨシノは、日本中のすべての木がクローンだって知ってますか?「ミステリーと言うな勿れ」の中で久能整君が言ってたから知ってる人も多いかな。ソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラの掛け合わせで作られた栽培品種。江戸時代後期に染井村(今の豊島区駒込あたり)の植木職人が作り、桜の名所吉野にちなんでソメイヨシノと名付けて売り出したもの。瞬く間に全国に広がりました。接ぎ木によって増やされるため、遺伝子はすべて同一、つまりクローンなのです。そしてソメイヨシノ同士は受粉しても種ができない「自家不合和性」という性質のため、人の手を借りない限り増えることができない。現在、日本中に数100万本から1千万本のソメイヨシノがあるみたい。

ソメイヨシノ60年寿命説とか一斉に枯れるとかって、聞いたことありませんか?植えてから60年たつと倒れるとか、同一時期に植えられたからほぼ同時に枯れるとか。これは嘘。適切な手当てを続ければ長く生き、樹齢130年を超えるソメイヨシノはすでにあり、弘前には樹齢100年を超える桜が300本以上現存します。ただし、同一の遺伝子を持つことは、同じ病気にかかるということで、同じような環境変化に弱いことでもある。街路樹として多用されているので、排気ガスなどの影響も受けやすい。ひとたび何かあれば、一斉に枯れる可能性はあります。

ソメイヨシノの最初の1本はどこにあるか、研究が進んでいます。昨年、上野公園にある4本の古木がルーツなのではないかという可能性が示されました。


もう一つ、桜の木には実がつくか?それはサクランボなのか? 
きれいな花の咲く桜の木にはサクランボはできません。食用のサクランボはセイヨウザクラの果実。一般の桜の実には毒があります。食用でないサクラの未熟な実は、分解される過程で青酸を発生される成分を含んでいるので、桜の実は食べちゃダメです。ちなみに、桜の葉にも大量に摂取すると健康被害につながるクマリンが含まれています。桜餅の葉っぱ数枚くらいなら問題ないそうですが。
この写真、近所のお宅のサクランボの木。小さな実がついてるの、わかりますか。これはガレージの前に生垣みたいになってて、後ろに見えるのは車。ガレージの上にはブドウの棚。この家の主は、そのブドウでワイン作ったり、不耕起でお米作ったりしているユニークな方。サクランボも少しいただいて食べたことあるけど、甘さ控えめでした。

桜が纏う幻想的な雰囲気も魅力的。
桜の花の下に立つと、心がざわっとします。   
安吾の「桜の森の満開の下」を思い出す。それから「桜の樹の下には死体が埋まっている」というフレーズにつながって、さらには「願わくば 花の下にて 春死なん」という句が浮かび、リフレインする。これは毎年繰り返すこと、桜の妖かしのなせる業。
桜の別名は「夢見草」「徒名草」。夢見てるみたい、はかない、もろい。

そういえば、桜の花粉にエフェドリンが含まれていて人を興奮させる、だから桜は人を狂わせるという俗説は嘘だそうです。小説か何かに書かれていてネットで広まっただけで、花粉にエフェドリンは含まれていない。
でも、桜の下を通るのが怖いという感覚はわかるような気がします、特に夜は。

昼間でも妖しい感じするのは枝垂桜。しだれって本当にきれい。魅入られてしまいそう。この写真は、千葉城近くで数年前に撮ったものです。青空でも妖かし。

日本三大桜の一つ、福島の三春桜も見事な枝垂れです。高さ13m、枝の長さ10m以上、樹齢1000年超のベニシダレザクラ。一度見てみたいものです。あと2つもご紹介しましょう。山梨の山高神代桜、ヤマトタケルが植えた桜という伝説がある、樹齢2000年超のエドヒガンザクラ。こちらは高さ10m、枝張り17m 以上。もう一つは岐阜の根尾谷薄墨桜。これもエドヒガンザクラ、樹齢1500年超、孤高の桜と呼ばれる。高さ17m、枝張り20m超。写真で見ただけでも凄い!!(ネットで見てみてね)

千葉に戻りましょう。
千葉公園で、ムスカリの群生する一角があって、菜の花と桜ならぬ、ムスカリと桜、ちょっと珍しい一枚が撮れました。
個人的にはムスカリ大好きなので、嬉しい。

この日はよかったけれど、それ以降雨っぽい日が続き、なかなかお花見日和がないうちに、桜はもう散り始めています。もう少し楽しめるのを期待しつつ…。(3月27日 佳)







 

新生・炎の雫

「炎の雫」新しくなりました。 東ティモールコーヒーから自家焙煎コーヒーへ。コーヒーの銘柄を増やして、カフェでも飲めるし、豆の販売でもご購入いただけるようになりました。 ラインナップに加わったのは、タンザニア・コロンビア・メキシコ・グァテマラ・エチオピアシダモの5種類。 また、焙煎...