2019年4月30日火曜日

静かな焔


藤の花が満開です。

 

10連休の初日427日(土)の午後、ポエトリーリーディングのイベント「静かな焔」が行われました。炎の雫では初の試み、どうなるのかしらと思いつつ、とても楽しみにしていました。そのご報告を。

 

4月も終わりだというのにうすら寒い日でした。この日の出演者は5人、すべて千葉に縁ある方達。一度に詩人5人に会うなんて初めてです。

ポエトリーリーディング、つまり詩の朗読です。いろんなやり方があるみたいですが、今回は音とかつけずに肉声のみでやっていただきました。一人の持ち時間は20分、主催者の川方さんが次の出演者を紹介しつつ進行していきます。

 

 

トップバッターは田上友也さん。

 

一ノ宮町東浪見出身の23歳。アメリカ詩を学び、詩を書き始めたそうです。

 

若いから現代詩っぽいのかなと思いましたが、ギンズバーグの名前が出たりして、意外にも(失礼)正統派なんだなと。

 

身近なことを難しい言葉を使わずに語る、その朴訥な姿勢に好感を持ちました。見た目はなかなか豪快そうな風貌ですが、実際は繊細で素直な青年なのでしょう。そのギャップも魅力的でした。

もしかすると彼みたいな人が「詩」を受け継いでいくのかなと感じました。

 

 

 

二番目は岬多可子さん。

 

こちらはベテラン、大原の生まれ。現代詩の賞を取った経験もあり、詩集を5冊も出している方です。

 

少し声は小さかったけど、耳をすませて聞くとさすがの言葉が並んでいます。炎の雫だからと、火と水の出てくる詩を読んでくださったりもして、嬉しかったです。

 

楚々として淡々と読むその姿が、とても素敵でした。

 

彼女が作っている掌詩集をいただきました。

この方は本物の詩人だ、と思いました。装丁も美しく、翌日それを読んでみると素晴らしくて、ああ、この方は本物の詩人だ、と思いました。

 

201516193冊の詩集、今に近づくにつれて言葉がシンプルになっています。でも古い頃のたくさんの言葉を駆使してるものもいいな、若い頃私の周りには、いかにいろんな言葉を使うかを考え続けている人たちがいて、(彼らは演劇人でしたが)そんなことを思い出しました。岬さんの詩集、欲しいなあと思っています。

 

三番目はマヤコ蝶々さん。

 

普段は歌とアコーディオンだそうですが、この日は自作の小説を朗読してくれました。

 

まっ白なドレスに身を包み、髪には白い花飾り。手に持つ原稿も白。

1枚読み終わる度に、紙をはらりと床に落とす、その刹那ドキッとさせられます。計算されつくされた美。前の二人とはまったく違った異世界が顔をのぞかせる。

小説の内容も然り、小人が誘う異界への旅。

一昔前、アングラ芝居でよく目にし耳にした光景。 

こちらは私にとっては懐かしい世界でした。

 

 

 

四番目は大島健夫さん。

 

千葉市生まれ、ポエトリースラムジャパン優勝、ワルドカップ出場等、外国での朗読経験多数。

 

実は、川方さんからこのイベントのお話をいただい時、大島さんのユーチューブの映像を見せてもらい、それが面白くてイベント開催することになったという経緯があります。

 

さすがのパフォーマンスでした。

表現者として超一流、声の大小、強弱、話すテンポ、ニュアンス、言葉を縦横無人に操って、確実に観客に伝えていきます。

 

言葉だけでこれができるのはすごい!芝居をかじった身としてはうらやましい限りです。

 

ただ、今回のラインナップ「うなぎ」「千葉で生まれた」など、落語的なものが多くて、心にしっかり残るには今一つだったのが残念でした。ユーチューブで見た「ハムを買ってください」みたいに、ノリのいい世界のその先にちらっと社会風刺や何かの主張が見えるみたいだともっと良かったのですが…。

 

他にどんな演目があるんだろう、また見てみたい、と思いました。

 

 

トリは主催者の川方祥大さん。

 

彼には何度かお会いしていますが、そのパフォーマンスを見るのは初めて。大島健夫さんと出会ってポエトリーリーディングの世界にやってきたと語るように、大島さんの影響を受けているのがわかります。

 

御宿、勝浦、夷隅、岬、自分が生まれ育った地への想いを、てらいなく、まっすぐに語っていきます。

ローカルな話題を交え、時に笑いを誘いながら、日常の中で普通に使っている言葉で、そこに自分の想いをのせて いきます。

いい感じです。

 

民宿を営んでいたお祖父さんとの思い出を詩にした「御宿を忘れるな」、繰り返される御宿を忘れるなと言うフレーズが心に残りました。

 

5人5様、かなり個性的な5人の詩人、あっという間の2時間弱。一人20分でしたが、それぞれがその20分を自分の世界に変えて、濃密な空間を紡ぎだしてくれました。5人の詩人の方に感謝します。

 

終了後、出演者と残ったお客様の会話。「大会ってどうやるの?」「外国ではどうするの?」などの質問に大島さんが答えて「11の対戦、観客から選ばれた審査員が旗を揚げる。自国語でOK、頭の上に字幕が出る」「衣装や小道具は一切禁止、前に裸でやりを持ってきた人がいて議論になったがこれが自分の民族の普通の姿だと主張して認められた」などと話してくれて、それを聞きながら、いいイベントだったなあとしみじみ感じました。 

 

今まで全く関わりなかった世界ですが、これを機に断然興味が沸いたポエトリーリーディング。

またの機会を楽しみにしたいと思います。

 

 

 

さて、連休の始まりは「静かな焔」でしたが、連休の終わりは「カンタ!ティモール」です。

すでにお伝えしているように、56日、上映開始は1330、南風島渉トークト水野たかしミニコンサート付きです。

限定15人、要予約。まだ少しお席に余裕があります。

 

ご連絡をお待ちしています。(430日 佳)

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