2023年10月29日日曜日

仏像に会う旅

 


奈良の仏像に魅せられて、折あれば仏像に会いに奈良を訪ねています。今回は往復切符を買って旅をしました。太東-奈良630km、600キロを超えるので割引あり、戻らなければ何度でも途中下車可、10日間有効。今回は、奈良から京都・米原経由で長浜に寄り道したかったので往復切符に。新幹線は特急券だけ買って、逸れた分はスイカで乗って、結構楽しい旅になりました。

今回は、東京の展覧会を含めると6体の十一面観音に会うことができました。国宝が2体、重要文化財が4体。その他にもいくつもの重文の仏像に会えて、とても幸せな旅でした。

これは渡岸寺の国宝十一面観音立像です。

*仏像はすべて撮影禁止なので、ポストカードやパンフレットからの写真です。

奈良に行く前に東京で寄り道。前哨戦として、東京国立博物館で開催中の「南山城の仏像」展を見ました。この展覧会、国宝、重文だらけの素晴らしい展覧会です。浄瑠璃寺の九体阿弥陀仏修理完成記念の特別展で、浄瑠璃寺から国宝3体、その周辺のお寺から重文12体。その中に重文の十一面観音が3体。この写真はそのうちの1つ、京都・木津川市の海住山寺の十一面観音菩薩立像です。平安時代(9世紀)の木造仏。重文。

この展覧会、鎌倉時代のものが少し混じっていますが、ほぼ平安時代のもの、9~12世紀に作られた仏像です。平安時代の仏像はお顔がいい、何とも言えない穏やかさがあります。南山城の仏像展は11月12日まで、東博本館特別5室にて。

南山城は京都とは言えほとんど奈良です。岩船寺と浄瑠璃寺は以前に訪ねたことがあります。大和路線の加茂駅から木津川コミュニティバスに乗り当尾の里山を歩いて辿り着いた小さなお寺に、光り輝く何体もの阿弥陀如来が置かれているのを見た時の驚きは忘れられません。今から思えば、あの時は修理の途中で、9体はそろっていなかったのですね。
浄瑠璃寺からは九体阿弥陀仏の1体の他、四天王の広目天と多聞天(この3体が国宝)重文の薬師如来、地蔵菩薩、岩船寺から普賢菩薩騎象像が出展されています。

これは京都・寿宝寺の千手観音菩薩立像。重文、平安時代。今回は千手観音にはこの1体しか会えませんでした。千手観音にはなぜか強く心惹かれます。

その夜は高円寺稲生座でライブ見て1泊し、翌日奈良へ。
その日訪れたのは、奈良市内の大安寺。日本最古の寺院の一つで、飛鳥の地で建立され、平城京遷都で現在の地に遷されて今日に至るという由緒あるお寺。今でも癌封じの寺として人々の信仰を集めています。奈良駅からバスで10分もかからない場所にありました。
このお寺の本尊、十一面観音立像。重要文化財。奈良時代、8世紀後半。秘仏。ですが10月~11月の特別開扉中で拝観させていただきました。右側の写真は同じく秘仏の馬頭観音像、こちらは3月のみの開扉。

十一面観音は深い慈悲によって衆生から一切の苦しみを取り去り、10種の現世利益と4種の来世での功徳をもたらすと言われる。頭部に11の顔を持ち、あらゆる方向を見守っていて、すべての人を救うとされています。
奈良時代から信仰されるようになり、多く祀られ、救済の観点からも人気が高かったと言われています。観音菩薩は、時と場所に応じて様々な姿に変化する能力(普門示現)を持ち、33の姿に変化するともいわれています。

大安寺には、讃仰殿という宝物殿があり、その中に、7体の重要文化財が収められています。いずれも奈良時代、8世紀後半の木造仏。
聖観音立像、楊柳観音立像。四天王立像(多聞天、持国天、増長天、広目天)。そして不空羂索観音立像。圧倒的な存在感。思わず息を呑み、見とれてしまいました。
中でも不空羂索観音は8本の腕を持ち、慈悲の縄(羂索)ですべての衆生を救いとる菩薩、堂々としていて安定感があり、実を委ねても大丈夫そうと思える仏様です。
だいたい、手が8本というのもいいかも、千本とはいかないまでも、普通より多いというのがいい。腕は後世に小ぶりに補作されたものらしいのですが。古い観音様は腕が長いのが多いので、そこから考えるともっと腕も大きかったのかもしれませんね。
それにしても、なんで異形のものに惹かれるんでしょうか。

翌日は桜井、談山神社から聖林寺へ。談山神社も仏像はないけれど重要文化財がたくさん。檜皮葺の十三重の塔など見所満載。山の気が感じられてとても素敵。あまりに心地よくてバス1本遅らせてゆっくり滞在しました。
その後、のどかな風景の中にひっそりとたたずむ聖林寺へ行きました。

聖林寺は小さなお寺。奈良時代712年に談山妙楽寺(現談山神社)の別院として建てられました。ここに国宝の十一面観音菩薩がいらっしゃいます。
この十一面観音は、大神神社(おおみわじんじゃ)の神宮寺「大御輪寺」の本尊だったもの。明治の神仏分離令によ影響で聖林寺に移されたのこと。長い間秘仏とされていましたが、明治20年にアメリカの哲学者フェノロサによって禁を解かれました。明治30年旧国宝制度が成立するとすぐに国宝に指定され、昭和26年に新制度になった時にも第1回の国宝に選ばれました。
760年頃、東大寺の像仏所で造られたという説が有力とされる天平時代の木心乾漆仏です。
2021年8月に新しい観音堂が完成、360度拝観可能となりました。
観音堂に上がるとまるで美術館のよう、アクリルケースに入れられ、どの角度からでも見えるようになっています。ぐるっと回って、前から後ろから、横顔も斜めからのお顔も、立って対し、座って下から見上げ、心ゆくまで拝観させていただきました。しかもこの時は私たち夫婦だけ、至福の時を過ごしました。
この観音菩薩は女性的な優美さと男性的な威厳を併せ持ち、すべてを超越した圧倒的存在感があるといわれています。和辻哲郎は「神々しい威厳と、人間のものならぬ美しさが現わされている。」と書き、白洲正子は「世の中にこんな美しいものがあるのかと、私はただ茫然と見とれていた。」と書いた聖林寺十一面観音。空間全体が何か霊的なもので満たされ、それに包み込まれ、時の流れが止まったようなこの感じ、大好きです。

奈良の3日目、飛鳥でサイクリング。本当はこの日も仏像に会うつもりだったけど、道に迷って壷阪寺に行き着けず。諦めてキトラ古墳と高松塚古墳へ。これはキトラ古墳の石室壁画、西壁の白虎と南壁の朱雀のポストカード。古墳っていうとずーっと古いのかと思ったけど、キトラ古墳は7世紀末から8世紀だそう、なんだ仏像と変わらないのね。

仏像に戻りましょう。
奈良から京都へ、琵琶湖線、北陸線で長浜へ。長浜が観音の里だと聞いてはいましたが、今回調べてみて湖北地方には民衆に守り継がれた多くの観音像が残されていると知りました。何度も戦場となったこの辺りは、仏像が焼かれたり奪われたりしないように、地面に埋めたり川に沈めて守ってきたそうです。
高月駅から徒歩10分の渡岸寺観音堂(向源寺)に、国宝の十一面観世音菩薩がおられます。のどかな風景の中、こじんまりとした美しいお寺です。

国宝十一面観世音菩薩。奈良時代(実際の制作年代は平安初期?)。檜一木造。日本彫刻史上の最高傑作とも国宝の十一面観音7体の中で最も美しいとも言われます。深い慈悲をたたえた表情、腰をちょっとひねった官能的なプロポーション、大きく作られた頭上面と配置、大きな耳飾りなどの特徴を備えています。
この観音様、実は十一面ではなく十面。また左右の一面ずつを頭の上ではなく耳の後ろに大きく表していて、まるで阿修羅の面みたい。普通の十一面観音とはちょっと違います。(この記事の冒頭に載せたお顔のアップの写真を見ると、分かりやすいかと思います。)
白洲正子は「湖水の上を渡るそよ風のような、優しく、なよやかなその姿」と書きました。

こちらは後ろ姿。面の大きさがわかります。大笑面って人の愚かさを笑い飛ばすってことかと思っていたけど、衆生の悪行に対する怒りを通り越した笑い、つまり怒っていることなのですね。真後ろにあるこの面はなかなか見られないけど、ここではぐるっと回ってみることができます。しかも聖林寺のようにケースに入っていなくてむきだしで置かれている。どちらも国宝、どちらも美しい。でもタイプが全然違う。なんていうんだろう、こっちの方が親しみやすくてありのままで受け入れられてる感じ。村人に守られ、村人と共に時を経てきた仏様だからやさしいのかもしれません。ここでは数組の拝観者と出会ったけど、やはりゆっくり滞在、堪能させていただきました。

観音堂の中には、大日如来像(重文)と阿弥陀如来像(滋賀県指定文化財)が安置されていました。ともに平安時代後期の作。
大日如来は通常少し厳しいお顔をなさっていますが、こちらのは大日如来にしては柔和な表情。その表情に心惹かれました。(この写真は向源寺のHP から)
向源寺のご本尊は、40cmほどの十一面観音立像(県指定・平安後期)、小さな像ですが繊細な造り。仁王門の金剛力士像は平安時代前・中期の数少ない像、こちらも県指定。
小さなお寺の中に、こんなに素晴らしい文化財があります。また、近くに「高月観音の里・歴史民俗資料館(KANNON MUSEUM)」があり、湖北の観音信仰文化についていろいろ学ぶことができました。

長浜には100以上の仏像があるとか。でも管理しているのが地域住民のところも多く、そう簡単には見られない。時々観音巡りのバスツアーがあるらしいので、今度参加してみたいものです。
最終日は琵琶湖クルーズを楽しんで、米原に戻り、新幹線で帰ってきました。この日新幹線は遅れていて、指定席取ってなくてよかった!自由席に乗って東京へ、千葉でも途中下車してごはん食べて、往復切符を存分に活用した旅でした。

今回は期せずして(?)十一面観音の旅になりました。
観音菩薩は概して女性的な感じを受けるものが多いけれど、男性でも女性でもない性別を超越した存在です。
菩薩は如来になるために修行中の仏様。悟りを開く前の王子だったころの釈迦の姿で現され、インドの貴族のゴージャスな姿をしているものが多い。
仏像ピラミッドでは、一番上が如来。真実を悟ったもの。阿弥陀如来、大日如来、薬師如来、釈迦如来など。二番めが菩薩、聖観音菩薩、十一面観音菩薩、文殊菩薩、私の好きな千手観音菩薩など。三番目が明王。叱りながら導く存在、相手を威圧する怖い顔、武器を持つ。不動明王、大威徳明王、愛染明王など。一番下が天部。仏教に取り入れられた異教の神々。四天王、十二神将、八部衆、吉祥天、弁財天など。金剛力士(仁王様)もここに含まれる。人間に近い姿で表され、男女の区別があったりする。大まかに、武人系、天女系、鬼神系に分かれる。(参考:JTB パブリッシング発行「るるぶ」「奈良仏像めぐり」)

国宝の十一面観音は7体、今回はそのうちの2つに会ってきました。他の5体のうち、京都の六波羅蜜寺、観音寺の十一面観音と奈良の法華寺の十一面観音はまだ見ていません。観音寺は通常公開されていますが、あとの2つは時期を決めての公開、なかなか見られないものもあります。できれば7体制覇したいものです。
国宝の仏像は全国に138件。(四天王など複数で1件となっているものもある。)そのうちの半分近くは奈良にあります。京都も多いけれど、奈良は京都の倍以上の76件。因みに奈良の国宝の約1/3は興福寺、法隆寺、東大寺にあります。おそるべし奈良です。
もちろん、国宝だからいいっていうわけではありません。国宝じゃなくても素晴らしい仏像はたくさんあります。でも今回の十一面観音、さすが国宝と思ったのも事実。

奈良の素晴らしいところは、ほとんどの仏像がいつ行っても見られること。地方では非公開だったり、予約が必要だったり、いろいろ面倒です。すごいなぁ、奈良は。
今回の旅もまた、私の奈良愛を深めてくれました。また行きたいなぁ。

(2023年10月29日 水野佳 *仏像以外のことは私のFacebookに写真載せてあります。)

























2023年9月28日木曜日

秋の初めの花と実り

 今年の夏は暑くて疲れました。少し涼しくなってようやく夏も終わりかと思ったらまた暑い、9月も終わりだというのに。

この時期の花と言えば、彼岸花。別名曼殊沙華。お彼岸の頃になると、突然にょきっと生えてきて真っ赤な花を咲かせます。ほんとに不思議な花です。この花は一般的な花と違って、花が終わってから葉っぱが出てその葉っぱは夏前に枯れ、何にもないふりをしてひたすら時期を待ち、お彼岸の頃茎が伸び始めて1週間も経たないで花が咲く。どうやら地温で季節を知るようです。球根には強い毒があり、葉っぱや茎にも毒がある。だから作物や死者をモグラや野生動物から守るために、たんぼやお墓の周りに植えられたとか。彼岸花はミステリアスで魅力的な花です。

こちら白い彼岸花、シロバナマンジュシャゲ。うちの近所に毎年咲いてるので、あー白いやつだ~としか思わなかったけど、関東では珍しいらしい。主に九州に自生しているとか。赤い彼岸花と黄色い彼岸花(ショウキズイセン)が交配してできたものと言われ、弱いのでなかなか見られないものとなっているらしい。彼岸花ってスイセンの仲間なのですね。
因みに曼殊沙華はサンスクリット語で天上に咲く花。あの世とこの世が最も近い時期に咲く妖しの花です。


夏の花カンナと彼岸花の競演。
太東の共同墓地で見かけました。
この辺りでは、まだカンナもグラジオラスも咲いています。
カンナは、夏から秋にかけて咲く花なので、こんなに暑ければまだまだ元気。草丈は250cmくらいまで伸びるから、青空をバックにすくっと立っていて目を引きます。



この季節、やたらと見かける目立つ花。芙蓉です。
そこここのお宅に植えてあり、結構大きく育って大輪の花が咲き誇っています。開花時期は8~10月だから、まさに花の時期。
二階建ての屋根の高さを超えた木に、直径15cmもある花が咲いてると圧巻。花の色は、だいたいが白とピンク、両方を植えてることも多いようです。


これはピンクの芙蓉。なんか南国的です。
そういえば、芙蓉はハイビスカスの仲間だもの、当然か。
ニュースで見たのだけれど、朝は花の色が白くて、夕方に向けてだんだんピンクに色が変わっていく酔芙蓉というのがあるのだそう。花が酔っぱらっうんだ、面白いですね。



この木、9月の上旬に紫色の房のような花をつけて、なんだろうと思って調べてみたら、セイヨウニンジンボクという木でした。基本的には夏の花となっています。
名前の由来は、葉っぱがニンジンの葉に似ているから。
この木があるところの傍はコスモスがいっぱい咲いているので、植えたものなのでしょう。


この辺りでは、お庭というか、家の前の道路の向い側にお花を植えて花壇みたいにしているところが多い。管理された空き地?それともご自分の土地?よくわからないのだけれど。
そんな場所の一つでケイトウの花が咲き誇っていました。鶏の頭に似ているから鶏頭。真っ赤な情熱の花。ここには、10種くらいのお花が咲いていて、とてもきれいです。サルビアとかハナウリクサ(トレニア?)とか紫系の花、マリーゴールド、メランポジウムなどの黄色系…それにコスモスもいっぱい。お花畑です。

たんぼのあぜ道を歩いていると、群生して咲いている白い花。
これはニラの花ですって。田んぼだけじゃなくて、いろんなところに生えていて、うちの庭の生垣のそばにもあったりします。
このはっぱをとって普通のニラとして食べられるのかな、といつも思いますが、勇気がなくていまだ実行していません。検索してみたら、野生のニラはほぼ雑草でどこでも生えていて食べられる、ハナニラという弱い毒性のあるのもあるので要注意とありました。ポイントは香り、ニラの香りがしないかなと思ったらやめましょう、だって。やっぱり採って食べるのはやめとこう、と思います。

道端でよく見かける、ハナトラノオ、薄紫やピンクのものが多く、ちょっとずつ色合いが違います。この季節、花が房っていうか穂みたいになってるのが多いみたいですね。
ハナトラノオは丈夫で強くて、地下茎でどんどん増えて、庭に植えてはいけない植物に数えられることもある。ドクダミとかミントとか竹とかと一緒。実はフキやミョウガも植えてはいけないに入ってます。そういえば、うちの玄関側はフキだらけ。ここに来た頃は庭側はミントだらけでした。ミントは頑張ってだいぶ撤去したけど、フキは食べられるからと放置して、毎年食べてます。

今やたらと多いのは猫じゃらし、エノコログサというんだっけ。
青い花はツユクサ。この2つはどこにでもあります。
ツユクサってけっこう大きくなる、50㎝くらいまでとなってたけど、もっと高くなってるのも見ます。
猫じゃらしも伸び放題の雑草って感じ。
他にも猫じゃらしがピンと直立してるみたいなチカラシバや、ガマの穂なども見かけます。おもしろいのがたくさんあります。


これはジュズダマ。あちこちで見かける、うちの前の道でもいっぱい実がなってます。東南アジア原産のイネ科の帰化植物。ジュズダマの食用のものがハト麦だそう。もともと食用として伝来したらしい。
子どもの頃、これで遊びませんでしたか。実の中の繊維を抜いて糸を通してネックレス作ったり、ブレスレット作りました。私は東京の杉並で育ったのですが、その頃は原っぱと畑、小さな山と崖があり、ヨモギ摘んで草餅作ったり、つくし採って佃煮にしたり。クローバー編んで冠にしたなあ、なんて思い出しました。東京も田舎でしたね。
秋の花、なんといってもコスモス、秋桜です。
コスモスはほぼ群れになって咲いています。ピンク、白、黄色っぽいの、数種類混ざっていることが多い。柔らかな葉と可憐な花が風に揺れてるのを見ると、秋を感じます。暑い日に陽射しに照らされてると、なんだかかわいそうです。
まだまだいろんな花が咲いてる、意外とあるものだと思いつつ、きりがないのでこの辺で。

さて、秋の実り編。
柿です!今年もいっぱい生りました。毎年生ることは生るのですが、うまく処理できる年とそうでない年があって。今年はまあ上手くいきました。うちの柿は渋柿です。最初の年、わーい柿だと食べて、甘い、でも変な後味、植木屋さんに教えてもらって、これが渋柿というんだと知りました。

それから試行錯誤。焼酎に浸して渋を抜こうとしたけど置いといたら腐っちゃったり、冷凍してみたけど渋が抜けなかったり。辿り着いたのが、切って干す方法。丸ごとの干し柿は好きじゃなくて食べる気がしない。切って干したらドライフルーツみたいで食べられる。そこで、9月の中旬、柿採りを決行。採ったその日に皮をむいてスライスします。

それを干し網の中に並べていきます。手間がかかってめんどくさいけど仕方ない。この日は夏みたいなお天気。まずは乾かさなくちゃ。
何年かの経験で、熟れた柿はカビが生えやすいとわかっていたので、まだちょっと緑っぽくて固いのを選んで切り、熟れちゃってるのは、もったいないけど外に放り投げました。まず3日が勝負。3日間直射と風に晒せたらたぶん大丈夫。雨降っちゃったりしたらアウト、カビ生えます。今回はほぼ1週間天気が続いたのでセーフでした。
柿は鉄の包丁で切ると手が真っ黒になるので、ステンレスの包丁を使って切る、これも学習しました。

これが出来上がったスライス干し柿。
噛みしめるほどに自然の甘みが感じられておいしい。
私はパウンドケーキに入れたりもします。
実は最初の1網(3段で柿45個くらい)を干し上げ、もう1網と思ったら、2日目に天気悪くて室内で干して、そしたら一晩で真っ白なカビが一面に生えました。それで意欲を失い、今年はもうおしまい、ということにしました。

もう一つ、秋(夏からだけど)の実り、梨。ここ、岬町は梨の産地。梨園が多く、この季節は直売所がたくさんできます。でも去年まであまり買いませんでした。直売所は宅急便で送る人が多くて買いにくい。でも今年直売所の自動販売機を見つけて気軽に買えるようになりました。これは自動販売機で700円だった新高。大きくて1個540gもあります。(隣に置いてあるのはティースプーン、大きいでしょう?普通の2個分です)
梨は時期によって品種が変わっていく。今まで見たのは、香水、豊水、二十世紀、新高。たぶんこれからだと思うのだけど、秋月という梨がとってもおいしい、こっちに来るまで知らなかった品種です。梨の季節はもう少し続きそう、楽しみましょう。


秋の実りのおまけ、カラスウリ。
雑草みたいになって木にまとわりついているのを時々見かけます。
園芸用の品種では、様々な色や形の面白いカラスウリがありますね。
ウリの仲間だから食べられるらしい、根は漢方薬になると言います。
カラスウリの花は夜に咲く白い花、写真で見たらなかなか素敵、見てみたいものです。


最後に。期待を込めて。
これはうちのキウイです。今年はいっぱい実がなっています。
年によって出来不出来はあるのですが、今年は台風も来なくて実があまり落ちずに育っています。楽しみ~。
ほとんど実が付かなかった年もあるし、最初は実が見えてたのに、気が付けば全然ないという年もありました。
去年は実が小さかったけどそれなりに採れて、生で食べたりジャムにしたりしました。
キウイっていつ採ればいいのかわからなくて、いつも悩みます。前に調べたときは11~12月頃にに収穫するとあったけど本当?それなりに育ってるし、どうせ木では熟さないし、もう採って置いといてもいいのかなと思ったり。どうしようかなぁと考え中です。
(2023年9月28日 佳)

























        


2023年8月28日月曜日

コーヒー2050年問題

コーヒー2050年問題って知っていますか?

地球温暖化による気候変動の影響でコーヒーの栽培地が減って、2050年までにこれまでのようなコーヒー生産ができなくなるだろうと言われています。

栽培適地は2050年には現在の50%に減少する一方で、コーヒーの消費量は世界的に増加、コーヒーを取り巻く状況はピンチに陥ると予測されます。

コーヒーは赤道を挟んだ北緯25度から南緯25度のコーヒーベルトと呼ばれる地域で栽培されています。特に美味しいコーヒーとされるアラビカ種は、標高1000メートル以上の山岳地域で、昼夜の寒暖差と適度な降雨量が必要。ところが、温暖化の影響で気温が上昇し、雨季と乾季の境目がなくなって、品質・収穫量とも減少。さらにコーヒーの大敵「さび病」が発生しやすくなります。コーヒー生産者の多くは小規模農家です。生産量の減少は生産者の収入減少となり、経済的に苦しくなってコーヒー生産を続けられなくなっていく。大規模農園だけが生き残っていくということになりかねません。

もともと小規模のコーヒー農家は収入が少ない。例えばエチオピアでは、コーヒー生産農家の世帯収入は国民一人当たりの年収の1/3ほど。コロンビアでは、コーヒー豆の価格が暴落する度に人口が流出すると言われ、農園を売るかコカの栽培に切り替えるかの選択を迫られる農家もあるという。コーヒー豆の価格を決めるのは先物取引所で、そこでコーヒー豆が高騰して高く売れても生産者に入るお金はすごく増えるわけではなく、暴落すればコストを下回る価格で売らざるおえない。。利益は中間搾取され、コーヒー農家は潤わない。こんな状況の中、2050年までもたない零細農家は多いだろう。そしてますます需要と供給のバランスが崩れる。ましてこの問題が取り沙汰され始めたころよりはるかに速いスピードで温暖化は進んでいるという。どうなってしまうんだろう。

ここまで書いて思いました。
COCAMAUとなんて違うんだろう。
私たちが仕入れているコーヒーの生豆は、東ティモール・アイナロ県マウベシ郡で日本のNGO パルシックの支援によって現地の人々で組織されたマウベシ農業協同組合(コカマウ)によって栽培されています。設立は2002年、34世帯から、最初の10年は試行錯誤で大変だったと言いますが、2020年時点で600世帯近くになり、日々コーヒーと取り組んでいます。主体は組合員たち、組合の意思決定、組合員の義務、売上金の配分などは集落ごとに作られた作業グループの代表者会議で決定されます。コーヒー畑の管理、収穫、収穫したコーヒーの実の処理、乾燥などの作業する人々はみな笑顔で楽しそうです。
世界中のコーヒー生産者がCOCAMAUみたいだったら、どんなにいいでしょう。搾取され貧困にあえぐこともなく、ただおいしいコーヒーを育てることに一生懸命になれて、コーヒー栽培に誇りを持てたら、幸せなのに。
私たちはCOCAMAUのコーヒーをちゃんと大事にしなくちゃいけないと改めて思いました。

マウベシでは2019年からコーヒー畑の改善事業に取り組んでいます。樹齢30年を超えたコーヒーの木は収穫量が減少。そこで意欲ある農家を中心に木の植え替え、土壌改良、木の手入れを専門家から学び、同時にその知識を普及させる人材を育てる取り組み。JAICA の助成での事業です。
さらには、東ティモール・エルメラ県サココ集落でのアグロフォレストリー事業も2019年から行われています。
アグロフォレストリーって聞いたことありますか? アグリカルチャー(農業)とフォレストリー(森林)をくっつけた言葉、樹木と農作物を一緒に植えてその相互作用によって農業と林業を共存させていくという概念。サココの場合は、もともとポルトガルの植民地だった頃コーヒープランテーションとされた土地がロブスタ種のコーヒー栽培地となっており、そこに多様な農作物を植えて住民の暮らしを支える豊かな森に変えていこうという活動です。そのためにまず苗床建設予定地のそばに貯水タンクを作り、配水パイプを引く工事から始めました。苗床にはライムやねむの木、カカオやドゥリアンなどを定植。ここでも主役は現地のサココ青年組合(KOHAR)。コハルの組合員たちが中心となり、住民たちが交代で作業したとのこと。夢はサココの森、素敵ですね。
(パルシックのホームページを参考にさせていただきました。写真3枚もホームページより)

ところで、東ティモールにも温暖化の影響は来ているようです。マウベシでは、例年なら6月に乾季が訪れ、収穫が始まると雨の降る日が少なくなるのに、今年は7月に入ってまた雨季に戻ってしまい雨が続いている。年々乾季が短くなって雨季が長くなっていると現地の人は言っているとのこと。気候変動によって農家の心配事は増えていると、パルシックのスタッフレポートに書かれていました。

2050年問題、実はコーヒーに限ったことではありません。
世界規模で地球環境が今より悪化することが懸念されています。地球温暖化が進み、世界中で異常気象が続き、自然災害がさらに増える。また地球の人口は増え続け、水不足、食糧不足は深刻化する。2050年、世界の人口は100億人に、世界の平均気温は2~3℃上昇し、47℃を超える日が続くという説もあります。海面上昇率も大きく、キリバス、セーシェル、モルディブ、ツバルなどの島国はすでに影響を受けていて、2050年には海に沈んで無くなってしまうと言われているところもある。


地球温暖化の大きな原因は温室効果ガスです。温室効果ガスが悪いというイメージがありますが、今の地球の気温=平均気温14℃が保たれているのは温室効果ガスのおかげ。これがなければ-19℃だそうです。
産業革命以降、人間は石油や石炭などの化石燃料を燃やし続け、大気中へ放出される二酸化炭素の排出量を急激に増加させ、温室効果ガスの層を分厚くし温室効果を強めてしまった。
地球は氷期と間氷期(温暖な期間)を繰り返しているけれど、過去の気温変化が5000年で7℃(100年で0.14℃)だったのに対して、最近の変化は100年で0.74℃であり、今後の100年はさらに気温が上昇すると予測されています。
因みに世界の平均気温14℃とあったけど、今年の7月は平均気温が史上初めて17℃を超えた日があって、それが3日連続だったとか。恐ろしいですね。

今年の異常な暑さは世界中で起こっています。アメリカのデスバレーでは55℃!アリゾナでは高温になったアスファルトでやけどする人が続出。カナダでは山火事が多発、その煙はスペインにまで達し、燃え続ける山火事になす術もなく、何万人もの人に避難指示が出されました。中国では今年7月気温が52℃を突破。比較的涼しいはずのヨーロッパも熱波で、ローマでは史上最高の41.8℃を記録。話題はいくらでもあります。

国連事務総長は「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代が到来した。」と言ったとか。人間は50℃までは生きられるそうですが、それも超えそう、いやすでに超えてるところもあるか。人間の脳が生きられるのは体温42℃までだそうで、気温がこんなに高くなると、体温がちゃんと保たれるか不安ですね。

こんなことになったのは、人間のせい。人間がもっと便利に、もっと快適にと求めてきた結果、今の世界がある。原点に戻って考えてみるべき、何を大切にするのか、何ができるのか、考えて、できることを少しずつでもやっていかなくてはと思います。
何はともあれ、まだまだ続きそうな暑さを、何とか乗り越えて生きていきましょう。
みなさま、どうぞご自愛ください。 (2023年8月28日 水野佳)












 

2023年7月25日火曜日

氷出しコーヒーと4:6メソッド

 

久しぶりのコーヒー話題。

氷出しコーヒー。最近見つけました。これがとてもおいしいのです。水出しもすっきりしてしていいけれど、氷出しはもっとずっとしっかりしていて、でも甘みやコクもあっておいしい。しかも簡単。かかるのは時間だけ。

ドリッパーにペーパーフィルターを貼り付けて挽いたコーヒーを入れ、ホットで出すときと同様にちょっとお湯で湿らせて、その上にペーパーをもう1枚のせて氷を入れる、あとは待つだけで超おいしいアイスコーヒーになります。

この写真では、うちのカリタの大きい方のドリッパー〈2~4杯用)で、粉30gに氷300gでやっています。

調べてみると、これは粕谷哲というバリスタさんが考案した方法。本家ではもっと簡単で、コーヒーの粉の上に直接氷を積み上げていく、まるでジェンガみたいとか言いながら楽しそう。先に粉を湿らせておくのもなしで、その代わり氷を全部入れてからちょっとだけお水を回し入れます。本家は粉50g(中粗挽き)で氷500g、ハリオのV60の03ドリッパーでやっていました。私が見たのは、誰かがアレンジしたやり方だったようです。

粕谷哲さんのおいしいアイスコーヒーの作り方3種のうちの最もおすすめがこの氷出し。あとはエアロプレスを使う方法と4:6メソッドを使って急冷する方法。エアロプレスはちょっと一般的じゃないので置いといて、4:6メソッドについて説明します。

粕谷哲さんについては、私は名前は聞いたことあるな程度でした。4:6メソッドは全然知らなかった。でもかなり有名なので、コーヒー好きの方なら知っている人は多いかもしれません。

粕谷さんは2016年のワールドブリュアーズカップのアジア人初の世界チャンピオン。彼が優勝した時に使った方法が4:6(よんろく)メソッドです。今では世界中に広がって、最近のコンテストでは4:6メソッドを使っている人が多数いる、バリスタさんの中で世界的なスタンダードになっているみたいです。
粕谷さんはⅠ型糖尿病で糖分のないコーヒーを飲み始め、自分で淹れたコーヒーがものすごくまずかったのをきっかけにコーヒーの研究を始めたそうです。

4:6メソッドは、誰でもおいしいコーヒーが淹れられる方法。テクニックではなく、見える形で、具体的には数字で(つまりきちんと計ることによって)調整していくという画期的な方法です。本当に?と興味を持ちました。中でも私が興味をひかれたのは、お湯を注ぐ回数で濃度を調整するという点、お湯の量じゃなくて??なにそれ??
全体を4:6に分け、4で味わいを、6で濃度を調整するそうです。

使う道具は、ハリオのドリッパーとスケールと温度計とポット。この他に、三角のペーパーフィルターとコーヒーを貯めるサーバーか計量カップ。(お湯の落ちるスピードが違うのでドリッパーはハリオじゃないとできない。普通のハリオなら600円代で買えます。)粕谷さんはハリオのアンバサダーで、ハリオには粕谷哲監修のリブ(溝)を改良し4:6メソッドに対応した「粕谷モデル」というドリッパーもあります。因みに、最近のバリスタの大会で使われているのはほぼハリオ。昔はドリッパーと言えばカリタかメリタだったのにね、なんて思うのは一定年齢以上の人。若い人はハリオが多い。そういえば、三角ペーパーフィルター、ダイソーでも売り始めましたね。

4:6メソッドの基本のやり方。
コーヒー中粗挽き20g。お湯300g。お湯の温度は、豆が浅煎りなら93℃、中煎り88℃、深煎り83℃が目安。基本はお湯を60g×5回
に分けて注ぐ。
ペーパーフィルターはお湯を通しておく。サーバーとドリッパーをスケールの上に置いて0に設定。基本は60gずつだが、これを変えることによって味わいと濃度が変わる。前半の2回で味が決まる。例えば1投目を50gに2投目を70gにするとより甘みが増し、逆にするとすっきりとした酸味が出る。後半の3回で濃度が調整できる。例えば後半の3回分の180gを一気に注いでしまうと薄くなり、60gずつ分けて3回で注ぐとより濃くなる。
(写真は粕谷さんのやっているPHILOCOFFEAのホームページから引用しました)

なんといっても正確に測りながらやることがポイント。計算しながらだと間違えちゃうから、うちでは1回分ずつ足した数字をメモしといてやりました。後半を4回に分けたときは、60、165、210、255、300って感じで。

実験のポイントは、お湯のトータルな量が同じなのに濃さが変わるのかという点。だから後半を変えていろいろやってみました。すると、飲んでみたら、本当に濃度が違う。不思議です。
普通は濃さを変えるというのは薄め方を変えること。私たちが日常やっている松屋式ドリップは必要量の半量出してお湯で薄めるやり方(濃く出して雑味が出る前に抽出をやめてしまい、お湯で薄める)ですが、松屋式で濃さを変えるのは薄めるお湯の量で調整します。

この写真は4:6メソッドで、左が後半180gを1回で注いでしまったもの、右が45gずつ4回に分けて注いだものです。写真だとわかりにくいかな、右の方が濃いです。飲んでみると全然違います。冷めてくるともっと違いが判ります。左の方は酸味が強く出てきます。
え~何で? おもしろい。
だとすれば、前半のお湯の注ぎ方を変えたら、甘みの調整ができるはずです。こっちもやってみなくちゃ。まだやってないですが。

アイスコーヒーに戻りましょう。
4:6メソッドを使った急冷式のアイスコーヒー。氷の上に抽出する。サーバーの中に80gの氷を入れておく。20gの中挽きの粉に150gの90℃のお湯を5回に分けて注ぐのが基本。始めに30g注いでドリッパーを振る(スプーンで混ぜても)40秒おいて2投目30g入れてまた振る。あとは30秒ごとに30gずつ。コーヒーが落ちきったらかき混ぜて氷を溶かす。甘さを出したければ1投目を20gに、逆にすっきりしたのが飲みたければ1投目を40gにする。オーソドックスできれいなコーヒーになる。確かに、こっちもおいしい。粕谷さんはスッキリしたのがよければ急冷、トロッとしたおいしさは氷出しと言っています。

4:6メソッドがなぜ世界中に広がったのか、たぶんそれはいくらでもアレンジのしようがあるからでしょう。確かに基本はある、でも変化のつけ方は自由自在。こうやってみよう、ああやってみようと変えられる。その中から自分の配合、自分のやり方を見つけられる楽しさがある。
そして、確かに美味しい。私はカリタで淹れたコーヒーがあまり得意じゃなくて、コーヒー好きじゃないと思っていたけど、松屋式に出会って変わりました。松屋式で淹れたコーヒーの雑味のなさ、すっきり感が大好き。お店でも基本松屋式で提供しています。ですが、夫は松屋式だとすっきりしすぎていて、時々ちょっと物足りないと言います。そこに登場した4:6メソッド、松屋式より微妙に雑味が残っていていいかも、と言っています。

4:6メソッドについては、本も出てるし、粕谷さんのYouTubeもいろいろあるので、興味がある方は検索してみてください。
4:6メソッド、まだまだ探求の余地あり。しばらく遊べそうです。

お知らせ
クレジットカード決済、電子マネー決済、スマホ決済が使えるようになりました。今まで通り、paypay、au pay、楽天payのQR決済も使えます。また、郵送購入時、クレジットカードでのオンラ決済もできるようになりました。ベイスのネットショップを通さなくても、メールでのご注文でクレカ決済での支払いができます。どうぞご利用ください。
(2023年7月25日 佳)

★追記 7月29日
氷出しコーヒーについて 本家のやり方、氷をのっけてあとから水を回しかける方法でやってみたところ、薄くてお茶みたいになってしまいました。やっぱり、最初に粉をお湯で湿らせてからやった方がいいみたいです。ドリップするときと同様、少量のお湯でコーヒーの粉を湿らせてから氷を乗せて置いておくと、とてもおいしい氷出しコーヒーができます。ご参考までに。














2023年6月29日木曜日

マティス&ABSTRACTION


上野の東京都美術館で開催中の「マティス展」に行ってきました。(一部写真撮影可で私が撮った写真を中心にご紹介します)

アンリ・マティスは20世紀を代表するフランスの巨匠。色彩の魔術師とも呼ばれ、フォーヴィスム(野獣派)の生みの親でモダンアートの誕生に寄与。彼の84年の生涯は、色彩と光の探求に捧げられた壮大な実験と言えます。世界最大のマティス・コレクションを有するパリのポンピドゥーセンターの協力による日本では20年ぶりの回顧展。これは代表作「金魚鉢のある室内」(ポストカードの写真)

ここ最近、いろんな美術番組で軒並み特集されていたのでなかなかの盛況。でも日時指定予約制なので大混雑ではありません。
展覧会は8章構成。1章は「フォーヴィズムに向かって 1895~1909」マティスの画家としてのスタートは象徴主義のモローのアトリエから。大胆な色彩と筆致によるフォーヴィスムから、平面的で装飾的な画面構成を始めるまでの作品たち。
日本初公開の「豪奢、静寂、逸楽」も展示。
「ホットチョコレートポットのある静物」(ポストカードの写真)

2章「ラディカルな探求の時代 1914~18」
キュビズムの影響から抽象化という造形的な実験へ。
何といっても、これ「白とバラ色の頭部」、最もキュビスム的作品、各美術番組でも必ず紹介されています。うちの夫はこれが見たくてこの展覧会に来たそう、なるほどねと思いました。(これもポストカードの写真です、このフロアーは撮影不可でした)
有名な「コリウールの窓」や冒頭に掲げた「金魚鉢のある室内」もこの章にあります。私はここらのマティスが一番好きかな。

3章「並行する探求ー彫刻と絵画 1913~30」
4章「人物と室内 1918~29」

マティスは、絵画のアイデアが模索されている転換期に彫刻を作っていたようです。
これは4章の「石膏のある静物」。4~6章は撮影可なので私が撮った写真です。

5章「広がりと実験 1930~37」
1930年代、マティスはアフリカやオセアニアを旅して、新しい光と空間に触れながら豊かな造形上の探求を繰り返します。
これは「座るバラ色の裸婦」抽象化されたようなどこか幾何学的な形に柔らかな色彩、心惹かれます。
5章には、マティスのアシスタント兼モデルとして死の時まで傍にいたリディア‣デレクトルスカヤの眠る姿を描いた「夢」も展示されています。

6章「ニースからヴァンスへ 1938~48」

戦争、病気、高齢のためヴァンスに居を移したマティス。
この章は彼の集大成ともいえる作品が並びます。
この展覧会のポスターにもなっている「赤の大きな室内」。
マティスの色彩に関する仕事が凝縮された作品と紹介されています。
デザイン性もあって居心地のいい作品ですね。
こちらは「黄色と青の室内」。
赤の室内と対をなす作品ですね、並べたくなります。

赤なら赤、青なら青を基調として、その中に効果的に別の色を置いていく。流石です。
この時期、ドローイングや本の挿絵、美術文芸誌など、多彩な仕事を手掛けています。

7章「切り紙絵と最晩年の作品 1931~54」
7章からは再び撮影不可。実はこれは6章に合った雑誌。7章にある切り紙絵の基になってると思うのでここに置きました。
マティスと言えばジャズ、イカロス版画シリーズ、見たことある人多いんじゃないでしょうか。

そして8章は「ヴァンス・ロザリオ礼拝堂」でした。マティスが生涯の集大成として建物、装飾、オブジェ、家具、衣装に至るまですべてデザインした礼拝堂関連の展示と映像でした。
う~ん、ここに辿り着いたのか。
マティスの生涯=挑戦と実験だったのだなぁと思いました。

マティス展に先立つこと2週間余、6月上旬にアーティゾン美術館に行きました。ブリジストン美術館がアーティゾン美術館に変わったのが2020年1月、ずーっと行きたかったのですが、やっと行けました。
「ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開~セザンヌ、フォーヴィスム、キュビスムから現代へ~」という展覧会。これ、すごーく面白かったです。個人を辿るのではなく、絵画の展開を追っていく。たくさんの作家の同じ系統の同じ時代の作品を見る稀有な体験。知っている作家も知らない作家もいる。感性をフル稼働させて、ただただどれに惹かれるかだけで見ていく。とても刺激的、たくさんの発見がある。

ここからは、私の琴線に引っかかった作品を呈示していきます。(この展覧会は写真撮影可と不可がごちゃごちゃなので、撮影できたものだけですが。)

大好きなカンディンスキーから。

「自らが輝く」ヴァシリー・カンディンスキー、1924年。

section 3 抽象絵画の覚醒ーオルフィスム、未来派、青騎士、バウハウス、デ・ステイル、アブストラクシオン=クレアシオン より。

カンディンスキー、いいなぁ。

あとは流れに沿って。

section 1 抽象芸術の源泉 より。

「神秘の語らい」 オディロン・ルドン、製作年不詳。

セクション1は他に、エドゥアール・マネ、ポール・セザンヌ、フィンセント・ファン・ゴッホ、ポール・ゴーガンなど、巨匠ずらり。



section 2  フォーヴィスムとキュビスム より。

「セレの街の屋根」 ジョルジュ・ブラック 1911年。

セクション2には他に、モーリス・ヴラマンク、アンドレ・ドラン、ラウル・デュフィ、ジャン・メッツァンジェなど。
section  2 より。

「ブルゴーニュのマール瓶、グラス、新聞紙」 パブロ・ピカソ
 1913年。

ピカソは4点あって、これは油彩に砂と新聞紙を使ったもの。
他に撮影不可の水彩の作品もなかな魅力的でした。





同じくsection 2より。

「手袋をした女」 アルベール・グレーズ 1922年頃。

こういう具象と抽象の間みたいのが好きかも。

セクション2には、あのマティスも2点展示されていました。


section 3 抽象絵画の覚醒 ーオルフィスム、未来派、青騎士、バウハウス、デ・ステイル、アプストラクシオン=クレアシオン より。

「赤い背景のエチュード」 フランティセック・クブカ 
 1919年頃。

このセクションには、かなりたくさんの作品があります。

「島」 パウル‣クレー 1932年。

クレーはとても好きな画家です。クレーの絵と谷川俊太郎の詩のコラボ「クレーの絵本」は大好きな本で、折に触れて眺めています。「クレーの天使」というのもあります。


「砂丘」 ピート・モンドリアン 1909年。

点描だ。

ロベール・ドローネー、ジャック・ヴィヨン、フェルナン・レジェ、ガルシア、などと私にはあまりなじみのない名前の中に、ル・コルビジェなんてのもありました。


「オータム・リーフ Ⅱ」 ジョージア・オキーフ 1927年。

オキーフ好きです。

ここまで、みんなセクション3です。
私の好きなカンディンスキーも、絵画数点とバウハウス系の書籍も。
ここらで気づきました。バウハウスとか青騎士とかの系列、好きなんだと。

この展覧会のもう一つの良い点は、世界に対して日本の動きも追っているところ。

section 4 日本における抽象絵画の萌芽と展開 より。

「無題」 古賀春江 1921年頃。
古賀春江はずっと気になっている人です。
他に、岡本太郎や長谷川三郎もありました。

 
section 5 熱い抽象と抒情的抽象 より

「水に沈んだ都市」 ザオ・ウーキー 1954年。

なぜか青に惹かれる傾向があります。




こっちは赤。そして日本人。

「赤い鬼」 菅井汲 1954年。

汲さん、男性です。
これね、じーっと見てるとおもしろいの、ずーっと見てられます。


section 6 トランス・アトランティックーピエール・マティスと其の周辺 より。
「夜の女と鳥」 ジョアン・ミロ 1944年。

ピエール・マティスはアメリカの美術商でアンリ・マティスの末っ子。ミロをはじめとする前衛画家たちを支援しました。ミロの他、デュビュッフェ、デュシャンの作品のある小さなコーナー。
私、ミロも好きなんです。
section 7 抽象表現主義。ジャクソン・ポロックとかクーニングとかロスコとかあるけど、この辺になるとあまり好きじゃない。

section 8 戦後日本の抽象絵画の展開(1960年代まで) より

「無題(無限の網)」草間彌生 1962年頃。
草間さんは外せない、なぜかとても心惹かれます。どうしてなんだろう。

section 9 具体美術協会 と section 10
滝口修三と実験工房 はささっと通り過ぎ、section 11 巨匠のその後 も歩き過ぎて。
section 12 現代の作家たち。

その中から 「Reflection  p-10] 
鍵岡リグレ アンヌ 2023年。
縦2m、横6mを超える大作。横から見たら立体みたいに絵の具が盛り上がってる。

こちらも大作。

「Untitled」婁正綱(LOU Zhenggang)   2022年

これは横8mを超える作品。圧倒されます。
大きいってだけで、見る方もエネルギーが必要です。


最後に 
「View , Water , A Twig」 津上みゆき 2023年。

この作家さんの作品、15点ほど並んでました。
いい色合いです。


ABSTRACTION 全12セクション、264点!圧巻の展覧会です。
これ丁寧に見てたら大変なことになるので、とにかく直感で、これ好き、これはいいや、と選別し、好きと思ったらちゃんと見たり、プレート読んだりする方式で鑑賞しました。とても面白い体験でした。この展覧会見て、私は抽象と具象の間が好きだと気付きました。抽象になってしまうとよくわからなくて、見たものをそのままではなく、その人が思うような形、感じた色に変えて描いた作品に惹かれるようです。
マティス展は夫と行きましたが、アーティゾン美術館に一緒に行ったのは久しぶりに会う女友達。気心の知れた仲。彼女は「眠っていた五感が目を覚ました」と言ってました。鑑賞後のランチとおしゃべりもとっても楽しかった!
時にはこういう時間必要ですね。

マティス展は東京都美術館で、ABSTRACTIONはアーティゾン美術館で、どちらも8月20日までの開催です。ぜひ行ってみてください。 (2023年6月29日 佳)




























ご近所グルメと商品券

  暑いですね。今年も、暑くてカフェはお休みにしました。 暑くても、おいしいものは食べたい、ちゃんと食べて頑張らなくちゃ、って思いますよね。 7月24日からカフェを夏休みにしたので、ふらっとご飯食べに行くこともできます。遠くに行くのは大変だけど、ご近所でちょっとなら。 というわけ...