クリスマスに恵比寿なんて、初めてです。
エビスビールの誕生は1890年。銀座8丁目に日本最古の恵比壽ビアホールを開店し、大そうにぎわったそうです。ちなみに恵比寿という町の名前はエビスビールがあったからつけられたというのは有名な話。
今回のツアーの最後には、実際にこの場所の地下で醸造されているビールの試飲ができます。
キリンビールは1888年発売ですが、前身は横浜山手居留地にあった「スプリングバレーブルワリー」。醸造所としてはこれが一番古くて1870年。(その前は幕末、とある菌学者がビール醸造したという記録あり。)
1889年大阪麦酒株式会社が設立され、1992年に旭ビール(のちのアサヒビール)発売。だいたい同じ頃です。バックボーンはキリンが三菱系、エビスが三井系、サッポロが渋沢栄一、アサヒは関西の酒造家と実業家のようです。その後これらの会社は統合したり、また分離したり、いろいろな変遷をたどります。日本の大手ビール会社の歴史、なかなかおもしろいです。戦争中はビールと名乗ってはいけなくなって、ブランドもなくなり、ただ麦酒と書かれ、配給品となっていたそうです。でも飲酒禁止にはならなかったんですね。
写真に写っているのは、ビールの醸造過程のイラスト、その下に置かれている瓶はホップ、麦芽、酵母など、見て匂いを嗅いで体感できます。
戦争の影響で途絶えてしまったエビスビールのブランドは、1971年に復活します。「名品、いま、よみがえる。特製エビスビール」麦芽100%を謳い、特別感のあるビールとして浸透していきました。1994年エビスガーデンプレイス開業、その中にエビスビール記念館ができました。それが2022年に閉館となり、今年4月、新たにYEBISU BREWERY TOKYO がオープンしました。タップルームも設置されています。
これが飲みたくて参加したわけですが。
Room 2。
Room 3。ここは、ソスのパーソナルな要素の強いシリーズ作品。
Room 4。この部屋にはマグナム・フォトが発行する「Fashion Magazine」のために撮影された「Paris/Minnesota」のシリーズと、2015年にニューヨークタイムズマガジンの企画で東京に滞在した時の写真が展示されている。ネットで探した様々な人を部屋に招き撮影した写真もある。ソスが街に出ていくのではなく街が彼の元にやってくる仕組みと解説にあり、なるほどねと思う。
Room 5。
『エビス∞(エビスインフィニティ)』35年以上前に恵比寿工場で使用されていた酵母を復活させて作ったビール。これ美味しい!!滑らかで芳醇。ホントにおいしい。
ツアーについているのはエビス∞1杯とナッツ、これを味わいながら、クイズコーナー、質問コーナーで終了。タップルームの一角にある試飲スペースを出て、そのまま一般席へ。他のビールも飲まなくちゃね。この日あった4種類の残り3種、∞ブラック、ホーリージョリーというスパイス入りの黒ビール、エヴァーホップヴァイチェンという小麦麦芽の薄濁りビールを頼んで飲み比べ。う~~ん、どれも甲乙つけ難し。美味。
おいしいビールって幸せです。
さて、今日のもう一つの目的は、東京都写真美術館で開催中の「アレック・ソス 部屋についての部屋」という展覧会です。
この展覧会は、6つの部屋で構成されていて、ほぼすべての作品が室内で撮影されたもの。
Room 1は初期の代表作「Sleeping by the Mississippi」を中心に。
「Hermann’s Bed,Kennner,Louisiana」2002。
初期のモノクロ作品「Looking for Love」1996年頃、ソスが住んでいたアメリカ中西部の街で出会った人々を。
2004~2005年に撮影された「Niagara」はナイアガラの滝ではなく周辺風景とそこに暮らす人々を撮影。ソスが影響を受けた人達のポートレイトも。偶然出会った人の部屋に入れてもらい、その人の世界を撮影している。
この部屋からは 「Two Towels」2004。なんだろう、この不思議な感じ。
「Dog Days,Bogota」は2003年に訪れたコロンビアの首都ボゴダの街を撮った。2006~2008年の「Broken Manual」はほとんど人の姿を写さず、廃墟や洞窟に残された痕跡から彼らの存在を意識させる。
その一方で2012~2014年に撮影された「Songbook 」は人を中心としたシリーズ。
Room3からは 「Broken Manual」から「2007_10zl0006」。2007。
なんかものすごく魅かれる。ものだけなのに。この隣に真っ白な石壁に針金ハンガーがかかってるだけという作品があって、それも不可思議な空間で魅力的。
「Park Hyatt Hotel,Tokyo」2015。
これはセルフポートレイト。東京の夜空に浮いているような、夢の中にいるような。
「I Know How Furiously Your Hart is Beating」のシリーズ。2017~2019年。
最後の部屋Room 6。
「どれだけ激しくあなたの心臓が鼓動しているか知っている」というこのタイトルは、アメリカの詩人ウォレス・スティーブンズの「灰色の部屋」という詩の一節からつけられた。静謐な空間、被写体から醸し出される親密さ。たとえそれが人間でなくても。
「Anna,Kentfield,California」2017。
舞踊家・振付家であるアンナ・ハルブリンを撮ったこの写真は、この展覧会の根幹を成す1枚。撮影当時、アンナは97歳!なんてかっこいいんだろう。
ソスは彼女のプライベートな空間で、座っている彼女を窓越しに写している。窓を通過する光と反射させる光、室内とその背後にある屋外。アンナとソスの親密さ。まるで1枚の絵のような美しさ。
2015年からしばらく写真を撮らなくなっていたソスは、アンナのプライベートな空間で、多くの時間を共にし、長い時間をかけて撮影したと言う。これをきっかけに、ソスは再びポートレートを撮り始めた。
この写真は「アレック・ソス 部屋についての部屋」展のメインになっています。私はネットでこの展覧会の記事を見つけて、これが見たくてここに来ました。実際に目にし、この写真の前に立って感じたのは圧倒的な存在感。この写真から美しき何かが部屋中に溢れだし、それに包まれるような。これを体験できただけで、ああここにきてよかった、と感じました。
そこは2018~2021年の「A Pound Pictures」と新作「Advice for Young Artists」を展示。
「A Pound Pictures」は、写真1枚1枚に固有のストーリーがあることを確認しているかのような作業。「Advice for Young Artists」人間も映っているけれど、もの自体が主役になっているような作品も。これからソスはどこへ向かっていくのだろう。
「Anatomy Figure」2023。ものだけど、喋りながら歩きそう。
この展覧会はすべて撮影OK、2025年1月19日まで開催されています。(ここに乗せたのはすべて私がpixelで撮った写真です。)
写真美術館を出ると日は暮れて、恵比寿ガーデンプレイスはイルミネーションが輝いていました。バカラのシャンデリアも点灯中。きれい!(このシャンデリアは幅3m、高さ5m、値段は4億1千万円! 250球のライトと8500のクリスタルパーツでライトアップ。)
クリスマスツリー&樹木は5000球のライトで飾られ、キラキラと瞬く。クリスマスツリーはもう終わっちゃったけど、バカラシャンデリアは1月13日までだそうです。
今年は「鑑賞(appreciation)とBeer」と称して、映画とか美術展とか、何かを観に行っておいしいビールを飲むというお出かけを何度かしましたが、その〆を飾るクリスマスでした。来年もこのお出かけシリーズ続けたいなぁと思っています。
2024年は残すところあと4日、炎の雫カフェ営業は今日を含めて2日となりました。
1年速いですね。
(カフェは年内12月28日まで、年明けは1月10日から。豆の郵送業務は1月6日から。)
今年もありがとうございました。皆様よいお年を!(2024年12月27日 水野佳)