2024年7月27日土曜日

身の回りの生き物たち

 いすみに引っ越して丸9年を超え、10年目に入りました。自然が豊かなこの地は、生き物たちも元気です。夏になって、身の回りの生き物たちが活動的になってきました。

まずはカエル。たぶんアマガエル、今年は出てくるのも遅くてなかなか見かけなかったし、今でもとっても小さくて、2cmもないようなのがピョンピョン飛んでます。ちっちゃいのはたぶん今年生まれたカエル。引っ越した当初から、家の中にカエルがいるのは毎年のこと。初めはびっくり、家の中で飛んで逃げるので、夫が追いかけて捕まえて外に出しました。最初は軍手で捕まえてたけど、すっかり慣れて今では素手で。(カエルを捕まえるのは夫の役目、私はいた!って言って夫を呼ぶだけ。私虫一般ダメです。)でもカエルはどの種も皮膚から毒を分泌するから、カエルに触った手で眼をこすったりするとよくないらしい。
こんな感じで家の中にいます。
二ホンアマガエルは体長2~5cm。卵がオタマジャクシになって1~2か月ほどでカエルになるけど繁殖できる大人になるには2年かかる。寿命は5年くらい、7年生きるのもいる。エサは昆虫やミミズなど。土の中で冬を越す。体は小さいけど声は大きくてよく通るから結構賑やか。何匹もいるとうるさいよ~もう慣れたけど。
声と言えば、ブーブーと携帯のマナーモードみたいな声で鳴くカエルもいるみたいで、たぶんウシガエルかな。ガマガエルかと思ったけど、ガマガエルの鳴き声はかわいい声だというので違うみたい。

カエルは環境に合わせて色が変わります。緑の葉っぱの中なら緑、枯葉の中なら茶色。カメレオンみたい。でもカメレオンの変色は神経系によって制御されていて瞬時に色が変わるのに対して、カエルはホルモンの働きによって色が変化するので、変化はゆっくり、数十分かかるそうです。仕組みが違うんだ、面白い。カエルは暗がりでも色を識別することができて、視覚情報を基に、つまり目で見て色を変えているとか。

どうでもいい話。「井の中の蛙大海を知らず」の続きがあるという話です。それは「井の中の蛙大海を知らず、されど空の深さを知る。」付け加えたことによって意味がまったく変わっています。井の中の蛙…だけだと限られた世界では視野が狭くなるというネガティブな意味。ところが、されど…を加えると、狭い世界でもその道を究めていけば深いところに到達することができるということになってポジティブな意味になります。前半は荘子の言葉に由来しますが、後半部分は荘子にはなく、日本で付け加えられたもの。誰が付け加えたかは諸説あるようで、近藤勇が言ったとか、河井寛次郎の言葉からとかいろいろ。数年前のアニメの映画の予告編で使われたりしてちょっと有名になったよう。その時は空の深さじゃなくて“空の青さを知る“だったみたいですが。
でもなんとなくいいかもって思いました。

次に蜘蛛。
これは玄関側の生垣にいるジョロウグモです。いつもカフェ営業の幟を立てるところのすぐ向こう側で巣を張ってもう何か月かになります。だんだん大きくなって、今や網の直径80㎝以上、蜘蛛本体も7、8cmはあるかな、大きくなってる。ジョロウグモには微弱な毒があるけれど、人間に害をなすことはほぼない。ただし、外来種であるセアカゴケグモは有毒でかまれると強い痛み、腫れ、発熱、発疹、重症化するとしに至るというので怖い。エアコンの室外機やブロックの隙間、サンダルの中にいたりすると言うから気をつけなくちゃ。今や45都道府県で確認されています。それに比べるとジョロウグモは東アジアに生息する(今は北米にも広がった)いいやつです。

蜘蛛は4対8本の足を持ち、昆虫ではありません。昆虫は3対6本の足で、体は頭・胸・腹の3つに分かれていますが、蜘蛛の体は頭胸部と腹部の2つに分かれている。よくお尻から糸を出すっていうけど、正確には腹部の吐糸管というところから糸を出すそうです。
蜘蛛はどうやって巣を作るんだろ、最初の1本の糸はどうやって張るんだろう、って思ったことありませんか?糸を垂らして風に乗せて飛ばし、糸が木の枝や門や柱などにくっ付くと糸の上を往復して糸を強くしながら形を作っていくそうです。蜘蛛が空を飛んでいくわけではないのね。因みに蜘蛛は巣を回収するときは嚙み切りながら糸を集め、お団子みたいに丸めて食べちゃうのだとか。

これはたぶんナガコガネグモ。お散歩で時々見かけます。生垣の木が蜘蛛の巣だらけになってるところはよくありますが、蜘蛛がちゃんといるのはあまりないので写真撮りました。
蜘蛛の巣、うっかり触っちゃうとベタベタして大変ですよね。もう一つの疑問は、蜘蛛はどうしてくっつかないで動けるの? これは蜘蛛の足の先に細かな毛が生えていてくっつかないのと、横糸はベタベタしてるけど縦糸はベタベタしてなくて、縦糸の上だけを移動するからだとわかりました。蜘蛛の糸ってタンパク質なんだけど、7種類ほどの特性の異なる糸を使い分けているみたいです。おもしろい。

蜘蛛は外にだけいるわけではありません。家の中にも居ます。というか住んでる。しばしば見かけます。家にいる蜘蛛はアシダカグモと思われます。手のひらサイズで10㎝くらいの長い脚、結構大きい。巣は張らない。ゴキブリなどを食べる役に立つ蜘蛛だってわかってはいるけれど、見かけるとどうしてもキャー!って言っちゃいます。蜘蛛の場合は、夫がほうきで追い立てて誘導して家からご退出いただいています。トイレの中にいたりするので、夜や早朝はトイレのドアを一度バタンってやってから入る、そうするとササササって逃げてく姿を見ます。動きは速いのですぐに見えなくなります。しばらくするとまた戻ってくるんだけど。アシダカグモの寿命は5~6年以上、サイズの小さいのも見るし、脱皮した殻が落ちてたりもするので、しっかり世代交代してるのでしょう。ま、いいか。
ちっちゃな黒っぽい蜘蛛もよく見かけます。ハエトリグモ、これも巣を張らない蜘蛛、よく床を走ってるけど黙認。小さい虫を食べてくれるから。

どうでもいい話。蜘蛛はコーヒーで酔っぱらう。コーヒーを飲むとカフェインで中枢神経が麻痺してきれいに巣が作れない。他の飲み物ではそんなことはなかったと書いてあったけど、そんな実験した人がいるんですね。もう一つ。クモは食べられる、というか南米やオーストラリアでは食べてるとか。タランチュラは肉厚で食べるところが多くて、素揚げにしたり、お腹の肉は生でも食べる。またジョロウグモは昆虫食界の鉄板素材でダントツでおいしいとありました。ホントかしら。

家の中ではないけれど、蟹。よく見かけるのはアカテガニかな。海岸や川の近くの岩場、土手、石垣などに生息。比較的乾燥に強くて、昼は巣穴や物陰に潜んでいる。夜行性というけれど、この辺では朝よく歩いていたりします。雑食性。蟹は鰓呼吸で水がないと生きていけないが、アカテガ二は鰓呼吸した水を口から吐き出し、お腹を伝わせて足の付け根から取り込むという循環ができるので、わずかな水で生きることができる。むしろあまり長く水につかってると溺れちゃうという。寿命は数年~数十年、長生きですね。

ここに来たばかりの頃は、家の庭に、特に外の水道の周りにやたらと蟹がいました。朝お散歩すると、道路を横切っていく蟹に出会うことしばしば。蟹ってなんで横向きで歩くのか知ってますか?胴体が四角くて横に足がついてて足と足の間隔が短いから、前に向かって歩こうとすると足がぶつかり合ってうまく歩けないからだと。前に歩くこともあるので、足はいろんな方向に曲がるようにできてるんだって。前に歩くカニもいる、毛ガニはその代表例。

蟹の足は切れても再生します。自分で足を切って敵から逃げることもある。生きたままの蟹を茹でると、危機を感じてすべての足を自分で切っちゃうので、真水に浸けて殺してから茹でるのだそうです。
この辺りではよく車に引かれてぺしゃんこになっている蟹を見かけます。車という敵には逃げる暇なくつぶされちゃう、悠々と道を横切ってたんだろうな、かわいそうに。

初めの頃、小さな蟹が何匹も庭に置いてたバケツの中に入っていたことがありました。見ていると壁面を登ろうとするのだけれど、つるつる滑って落ちちゃうみたいでバケツをひっくり返して出してあげました。調べてみたら、蟹は逃げ出そうとする者の足を他の蟹が引っ張って落とすらしく、結局みんな逃げられない。そのことから人の足を引っ張る心理をカニ脳というとわかりました。へぇ、そうなんだ。滑ってたんじゃないのね。

蟹は足が10本で通常横に移動します。(毛ガニは例外)
でもタラバガニは足が8本、実はカニではなくてヤドカリ類。ザリガニの仲間で前や後ろにも移動できます。有名なズワイガニよりタラバガニの方が大きいけれど(これは寿命が倍ほど長いためらしい。タラバは30年ほど、ズワイはその半分以下です。)ズワイの方が甘みやうまみが強くて美味。

蟹についてのどうでもいい話。中華料理に酔っぱらい蟹ってありますよね。上海蟹を生きたままお酒に沈めると、水中にいるのと同じように呼吸のためにお酒を吸い込み、全身に回って酔っぱらってしまう。アルコール度数50%以上のお酒は、殺菌作用があり独特の旨味を引き出すのだそうです。

次はカマキリ。
オオカマキリでしょう。胴体だけで12㎝はある。大きい。時々網戸にくっついていたり、プランターに居たり。これは玄関のゲートにさかさまにぶら下がってたやつ。バッタの仲間というよりはゴキブリの仲間ですって。前足が鎌状になっていて多数の棘がある。飛ぶのは苦手で、翅は威嚇に使うことが多い。オスの方が体が細くて茶色い。これは緑だからメスですね。寿命は約半年、5~6月に生れて10月にはもういない、でも最近は暖かいからもう少し後まで居るかも。

基本肉食で、エサはクモ、カエル、ネズミ、ヘビ、時に小鳥も食べるが、実は雑食で植物や木の実なども食べるともいわれています。死んで動かないものは食べない。
この写真、なんだか花を狙ってるみたいにも見えます。
獲物を狙うときは、2本の前脚を揃えて胸部につけて折りたたむようにして、じーっと待ち伏せする。その姿が手を合わせて拝んでいるように見えるので、拝み虫とも呼ばれています。英語ではmantis、またはpraying mantis、語源はギリシャ語の預言者という意味だそうです。なので神の使いとして神聖視されることもあります。

カマキリの卵が孵るのを見たことありますか?雨戸の戸袋の中に卵があって、そこからほんとにちっちゃいカマキリがいーっぱい出てきたのを見て、わーぁって思いました。実は卵だと思っていたのは卵鞘(らんしょう)という粘液でできた塊で、その中に何百個の卵が入っているのです。1個の卵鞘から300~1000匹のカマキリが生まれる、すごいですね。

カマキリのどうでもいい話は共食いについて。ファーブル昆虫記で有名になったカマキリの共食い、オスは交尾中または交尾後にメスに食べられちゃうという話。実は、交尾後に食べられずに逃げ切るオスもいて、1回だけでなく数回交尾をして(別のメスと)子孫を多く残して命を終えるカマキリもいる。交尾でオスが死に至る確率は25%。
日本のカマキリは自然状態で交尾後オスを食べてしまうことはあまりないそうです。日本のカマキリ、穏やかなのでしょうか。メスがオスを食べるというと残酷に思えますが、ただ動くものをエサにする習性に従っているだけとも言われています。

最後はカラス。ハシブトカラスかな。
ハシブトカラスとハシボソカラス、似てるしよくわからないけど。
東京にもいっぱいいますが、いすみにも。でも東京よりは少ないかも。飛んできて、電線やうちの屋根の上に止まり、カアカア鳴いてます。ローテーションを組んでるらしく、偵察隊みたいなカラスが来て仲間を呼んでるときもある。夜は大体いないけど、たまに夜啼いてるときもある。

カラスは雑食性で、果物、昆虫、動物の死骸、生ごみ、鳥類の卵など、なんでも食べます。木の実を丸ごと食べて種を運び排泄することで種子散布者の役割を担い、動物の死骸を食べるスカベンジャーの役割も担って自然界の循環に貢献しています。秋、田んぼの周りでたくさんのカラスが何かをしきりに突っついている光景を見かけます。落ちたお米を食べてるのか、それとも虫か、これも自然循環に貢献しているのかな。

カラスは一夫一婦制で、生涯つがいで生活します。寿命はよくわかっていませんが、20年以上生きた観察例もあるそうです。
カラスは知能が高く、小学校低学年、6~8歳程度の知能も持つと言われています。犬よりも賢くてゴリラ並みの知能とか。石を投げられたリ、水をかけられたりすると、その人間の顔をちゃんと覚えていて、復讐することもあります。怖い。
道具を使って目的を遂げたり、創造的な手段を編み出したりもできるほか、個体間で知識を共有し、死んだ仲間を弔ったりすることも分かってきました。
自己認識能力が備わっていて、2億~3億のニューロンが存在するという研究結果があります。(人間のニューロンは脳全体で860億。チンパンジーで60億~70億。)

これはうちのお店部分の天井。ログハウス風になっていて明り取りの天窓があります。この上にしょっちゅうカラスがやってきて、トントントントン音を立て、何かをぶつけてる。まるで大工さんが何か作ってるみたい。どうやら蟹を捕まえてきてそれを割ろうとしているらしい。それがわかったのは、上から蟹の甲羅みたいなのが降ってきたから。来るときは毎朝トントン。見上げると黒い影が見える。あ、また来てる。あまりに音が激しいときは大丈夫かしらって思います。そのうち割れちゃうんじゃないかなって。ガラスではなくFRPという素材で強いから大丈夫と夫は言うけれど…。カラスに突かれて屋根が雨漏りするようになったとか聞くから、心配ではあります。ま、大丈夫でしょう。
このおかげで(?)カラスはやたらと身近な存在です。

カラスのどうでもいい話は、カラスはマヨラーだという話。夢の島で捨てられたマヨネーズをなめようとするカラスがいっぱいいる映像を見たことがあります。容器ごと巣に持って帰るカラスも多々いて、あのマヨネーズ容器を加えて飛ぶカラスもよく目撃されています。高カロリーで油分の多い食べ物はカラスの好物。から揚げとかポテトチップスとかも大好き。
一方カラスが食べてはいけないものは、チョコレートとアボカドですって。

最後に、おまけ。ヘビです。これは去年の9月の写真。お散歩に行こうと出たら、うちの玄関のゲートの上にヘビがいました!家に戻って、庭側から出て、ひと回りしてきたらいなくなってましたが。まるでロープみたいなヘビ。このヘビと似たようなのは自転車で走ってるとたまに見かけるけど、まさかうちの入り口で…う~~今年は大丈夫かしら。できればお会いしたくないなぁ。

田舎暮らし、身の回りには虫や爬虫類や両生類や何やかや、いっぱい。
おっかなびっくり暮らしています。(2024年7月27日 佳)















十和田市現代美術館 

  ずーっと行きたかった十和田市現代美術館へ行ってきました! とてもとてもおもしろくて、感動的で素晴らしい体験でした。 外房線太東駅から東京駅へ、東北新幹線で七戸十和田駅で降り、そこからバスで十和田市へ。5時間ちょっとの道のり。バスの本数もなくてネットで調べて、これしかないってい...